豊洲落札率99%工事 都入札監視委が審議せず 当時委員長は元市場長

東京都が第三者機関として設置している有識者らの入札監視委員会が、落札率が99%超となった豊洲市場(江東区)の施設建設工事を審議対象にしていなかったことが十四日、分かった。当時は、市場当局トップの中央卸売市場長だった都OBが委員長を務め、審議する入札案件も委員長と都側が選んでいたことが判明。入札の客観性や透明性をチェックするはずの監視委が形骸化していた。

十四日の都議会決算特別委で、共産党の和泉尚美都議の質疑により明らかになった。

都によると、入札監視委は入札契約適正化法に基づいて二〇〇二年に設置。元市場長で都OBの岡田至氏が一三年十二月から委員長を務めていたが、今年九月十六日付で「一身上の都合」を理由に辞任。委員長不在で、大学教授と弁護士ら計六人で構成している。

都財務局によると、都は前年度に都が発注した二百五十万円超の入札案件の一覧を委員会に提出することになっており、一三年度に入札があった豊洲市場の建設工事は一四年度の一覧に入っていた。

都の運営要領は、監視委が案件を選定すると定めている。だが実際には慣例で、委員長があらかじめ定めたテーマに沿って、ダンピングが疑われたり、同一工事で複数回入札が行われた工事などを、都の事務局が抽出し、事務局と委員長で審議案件を決めていた。

豊洲市場における青果、水産仲卸売場、水産卸売場の主要三棟の施設建設工事を巡っては、都中央卸売市場が一三年十一月の入札が不調となった翌日、入札を辞退した大手ゼネコンの共同企業体(JV)側にヒアリング。

一四年二月の二回目の入札は、予定価格を当初の一・六倍の計約千三十五億円に引き上げた結果、各棟それぞれ一つのJVだけが応札し、予定価格に対する落札額の割合は99・79~99・96%だった。

都側はこの三件の入札に関して「入札監視委では審議していない」と説明。和泉都議が「三件とも落札率が100%に限りなく近く、談合が疑われるような案件だ。審査すべきではなかったか」と尋ねたのに対し、武市敬財務局長は「選定は落札率のみで決めているのではなく、その時々の状況に応じて審議にふさわしいものを委員長が決めている」と答えた。

岡田氏は〇九年七月~一一年七月に市場長を務めた。都は同年三月、設計会社と豊洲市場主要三棟の基本設計の契約を締結している。

和泉都議は「豊洲移転を推進したOBが委員長だから審議対象にしなかったのではないか」と追及したが、武市局長は「そのような因果関係は一切ありません」と否定した。

都顧問らで構成する都政改革本部のプロジェクトチームも、三棟とも一つのJVのみの応札であったことや、著しく高い落札率を問題視し、妥当性を検証する意向を示している。

五十嵐敬喜(たかよし)・法政大名誉教授(公共事業論)の話 

落札率が三棟とも99%を超えた入札は、誰が見ても不自然だ。入札監視委員会は、都の入札が適正に行われているという言い訳に使われているが、この入札が審議されていないのなら、存在意義を果たしていない。一方で、本来は都議会が、最大のチェック機関として、もっと早く声を上げるべきだったのではないか。




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