特養待機者4割減 入所条件の厳格化が主因

特別養護老人ホーム(特養)に入所を申し込んでも入れない待機者が三十八道府県で約二十二万三千人と、二〇一三年の約三十八万五千人に比べて42%減ったことが共同通信の今年十月末の集計で分かった。一五年四月から特養の入所条件が原則「要介護3以上」と厳しくなったことが主因で、一部地域で施設整備が進んだことも影響した。

数字上は待機者が大幅に減ったが、認知症や老老介護など要介護度が低くても自宅で暮らすのが難しい高齢者が門前払いされる例もある。行き場のない「介護難民」や家族の介護離職の増加が懸念されている。

調査は四十七都道府県を対象に実施し、三十八道府県から回答を得た。条件が厳しくなる前の一三年(一部は一四年)と一六年(同一五年)の待機者数を比較した。他の施設に入所中の人も含んでおり、重複の扱いなど集計方法や調査時期が異なる場合もある。

特養は比較的利用料が安いため人気があるが、待機者増を受け、要介護1~5の半数を占める要介護1、2の人は原則入所できなくなった。待機する約二十二万三千人のうち、在宅の人は少なくとも約八万四千人だった。

減少幅は和歌山の63%が最も大きく、岐阜(60%)、香川(57%)、奈良(54%)、静岡、佐賀(53%)と続いた。

東京は集計結果がまとまっていない。茨城47%、栃木37%、群馬43%、埼玉49%、神奈川48%だった。

安倍政権は「介護離職ゼロ」を目指し、二〇年代初頭までに五十万人分の施設・在宅サービスを整備する方針を掲げるが、目標達成は不透明だ。厚生労働省は一四年に特養待機者数が四十七都道府県で五十二万四千人と発表している。

青森、山梨、岡山の三県は非公表とした。福島、京都、福岡、熊本は集計結果がまとまっていない。長野は在宅での待機者数のみ回答した。

【注】

東京は未集計。栃木の前回は14年5月。群馬の前回は13年5月、今回は16年5月。千葉の前回は13年7月。神奈川の今回は15年10月。静岡の前回は13年1月、今回は16年1月。その他は前回が13年10月、今回が16年4月

<市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰の小竹雅子さんの話> 

特別養護老人ホーム(特養)の待機者が減少したのは見かけだけにすぎず、特養を必要とする人が減ったと捉えるべきではない。要介護1、2でも在宅生活が難しいなどの条件があれば入所できるが、実際には周知されておらず、門前払いされるケースがある。一定以上の所得があると介護サービスの自己負担が一割から二割になった影響で、費用を負担できず入所を諦めている人も少なくない。軽度でも徘徊(はいかい)の恐れなどがあり、家族の介護負担が重い人や経済的に余裕のない人もいる。実態を把握しないまま、介護サービスを利用する権利を安易に制限すべきではない。




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