<海洋堂>ホビー館四万十5年 ヤマトのような工場建設も

アニメや動物のフィギュア・メーカー「海洋堂」(大阪府門真市)が2011年7月、高知県四万十町打井川(うついがわ)に開設した「海洋堂ホビー館四万十」(0880・29・3355)が5周年を迎えました。同社の創業者で、館長の宮脇修さん(88)が黒潮町出身で、父が四万十町出身だったのが縁で、小学校跡地にオープン。旧体育館(延べ465平方メートル)に中世の帆船カタロニア船(高さ10メートル)を再現し、恐竜や動物、戦車やアニメなどのフィギュア約1万点がズラリ。高知県に出張した宮脇さんに経緯を聞きました。

海洋堂は1964(昭和39)年、大阪府守口市で創業。宮脇さんは「覚えた手打ちうどんの店を始めるか、流行の兆しがあったプラモデル屋にするか。木刀の倒れた方向でプラモ屋に決めました。物づくりに関心があったわけではないんです」と笑います。当初は既存のプラモを販売していましたが、70年代に子ども向けプラモのブームが終わり、その後は大人向けの「ガレージキット」に移行。車庫(ガレージ)程度の広さの工場で作る少数生産の模型を指し、芸術性が高い帆船などを作りました。

転機は99年に販売が始まった卵形チョコレート「チョコエッグ」。おまけの動物フィギュアが大ヒットして「食玩ブーム」を起こし、マニアだけでなく、一般にもフィギュアという言葉を広めました。宮脇さんは「ガレージキットが進化して、フィギュアになった」と説明。その後、アニメキャラクターを立体化するようになり、「我が社から造形師という職業が生まれ、日本文化としてフィギュアを世界に送り出したんです」と強調します。今では、大英博物館の企画展のグッズを作るなど海外でも高く評価されています。

ホビー館を作るきっかけは11年前に高知県立美術館で開かれた海洋堂に関する企画展。当時、同社は既に滋賀県長浜市の観光地「黒壁スクエア」にミュージアムを開設していました。それを知る高知の企画展の入場者が宮脇さんに「高知の人間が、なぜ高知にミュージアムを作らないの」と要望。宮脇さんは、父が昔、四万十町の馬之助神社のほこらを建てた縁で、同町にホビー館を建てました。1年後には、かっぱのオブジェを展示する「海洋堂かっぱ館」を近くにオープン。「世の中の人を喜ばせるには、ある程度、冒険しないと。僕の場合、冒険ばっかりやけどね」と苦笑します。

今後は「四万十町に子どもの遊び場を造りたい。南国市では来年、フィギュアの工場を造る予定です。『宇宙戦艦ヤマト』みたいな外観の工場にし、南国市の名所にします」と意気込みます。

ホビー館を訪ねると、今月24日まで、企画展「造型怪獣総進撃」を開催中でした。海洋堂が制作した歴代のゴジラ、ガメラ、ウルトラマンのフィギュアを展示。中でも、映画「シン・ゴジラ」の「雛型レプリカ特別版」は99万3600円で受注生産する逸品で、精巧な細工に引き込まれました。

案内してくれたのは、事務局長の宗崎(そうざき)信一さん(57)。ホビー館が建つ旧打井川小学校の卒業生で、社協の元職員です。宗崎さんは「過疎・高齢化した四万十町にホビー館ができて、県内外から人が来るようになり、地域が活性化しました。今後は移住する人が増えてほしい」とニッコリ。私もフィギュアによる町おこしに期待します。




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