<地域ねこ事業>殺処分、6年で7割減少 課題指摘も 盛岡

国内では愛くるしい仕草を見せるネコと直接ふれ合える「ネコカフェ」がブームとなる中、年間10万匹以上の野良ネコが殺処分されている。そんな不幸なネコを1匹でも減らしたいと、住民と協力して野良ネコなどを管理する盛岡市の「地域ねこ事業」が成果を上げ、市内の殺処分数は6年間で7割減少した。一方、NPOは「保護環境は不十分で、殺処分を減らすためには施設が必要」と訴える。

◇不妊手術1万円助成

地域にすみ着いているネコに不妊手術をして繁殖を防ぐため、自治体が住民と連携する事業は、全国的に広がっている。ただ市によると、東北地方では盛岡だけだという。

市はメスネコの不妊手術費として、1匹あたり1万円を支給。ワクチンの接種費も1500円助成している。

事業を通じて、2015年度までに延べ47地域で160匹に不妊手術、56匹にワクチン接種がされた。ネコは繁殖力が高く、1度の出産で6匹ほどの子ネコを生むため、不妊手術をしていなければ、新たに約960匹が生まれていたことになる。

保護されても重篤な病気などがあり殺処分されたネコは、事業を始めた10年度に193匹だったが、15年度には7割減って64匹だった。車にひかれるなどして路上で死んだネコの回収件数は09年度に605匹だったが、15年度は480匹で約2割も減少していた。

市保健所生活衛生課獣医主査の松館恵子さんは「住民ボランティアのおかげで取り組みの成果が出ている。活動をきっかけに住民同士のつながりも生まれ、街づくりの一環にもなっている」と手応えを話す。

ただ、それでも毎月5匹が殺処分され、40匹が路上で死んでいる計算だ。

◇「1団体では限界」

「殺処分ゼロ」を目指して活動する民間団体もある。NPO法人「もりねこ」(同市)は「ネコも人も幸せになれる場所」を目指し、ネコの適切な保護や里親探しをするため14年1月に設立された。お茶を飲んだり、ネコと触れ合ったりできるカフェを市内で運営。店内には、市や地域住民から要望されて引き取ったネコがいつも30匹ほどおり、子どもや女性の人気を集めている。カフェの売り上げは、ネコの餌や予防接種の費用などに充てる。

これまでに同NPOは市から引き取った53匹を含む253匹のネコを保護し、208匹を新しい飼い主に譲った。ネコの正しい飼い方や野良ネコ対策について、勉強会や写真展を開くなどして啓発活動にも力を入れている。

しかし、NPO代表の工藤幸枝さん(31)は「1団体の活動だけでは限界がある。保護が必要なネコはまだたくさんおり、適切に管理できる居場所が必要」と話す。

◇市長が直接意見交換

現在、市内で保護されたイヌやネコは県央保健所の「犬・猫保護センター」で一時保護される。しかし、1969年の完成で老朽化が進んでおり、工藤さんは「保護環境は十分とは言えない」という。

15年10月、同NPOは「保護されたネコやイヌなどを適切に管理できる動物愛護センターが市内に必要」と、約3万人分の署名を集めて市議会に請願書を提出した。月1回、建設資金の街頭募金をしたり、毎月1日のカフェの売り上げを寄付したりもして、これまでに110万円が集まっている。

市議会は同月、請願書を全員一致で採決した。これを受け、市はセンターを建設できるのかどうか検討している。

今月19日、同NPOはカフェに谷藤裕明市長を迎え、スタッフらが活動内容や市の野良ネコ対策について約1時間にわたり、直接意見交換をした。スタッフらは「『地域ねこ事業』を知らない住民が多く、効果的な広報が必要」「動物愛護センター設立が決まった場合、子どもたちが命の大切さを学べる場所にしたい」と訴えた。市側はセンター設立に向け、他自治体の事例を参考に事業内容や施設規模などを調査中と説明した。

意見交換後、谷藤市長は「NPOとの連携を深め、動物愛護を進めていきたい。県とも保護環境のあり方について考えていきたい」と述べた。センター建設に関する具体的な言及はなかった。




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