核燃料再処理機構が発足 国の関与強化 国民負担の懸念も

原発から出る使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画の実現を目指し、国が監督権限を持つ認可法人「使用済燃料再処理機構」が三日、青森市で発足した。民間企業の日本原燃(青森県六ケ所村)に任せていた計画が進まず、事業を同機構から委託することで計画への関与を強め、核燃料サイクルを安定的に進めることを狙う。だが、計画の進行に伴い大手電力が計画用に積み立てている資金が減り、電気料金に転嫁する形で追加の国民負担に発展する懸念がある。

政府は廃炉費用をすべての電力利用者に負担させることを検討している。原発に対する国民の批判が高まっているにもかかわらず、原発のための費用負担に上限が見えなくなっている。

プルサーマルは原発で使い終わった燃料からプルトニウムを取り出す「再処理」をして、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料をつくり再利用する計画。

必要な資金は大手電力会社が電力利用者の電気料金に上乗せして積み立ててきた。しかし、四月から電気料金の設定が自由になり積立金が減るなどして、原燃の運営が立ちゆかなくなる懸念が出ていた。このため経済産業省は「プルトニウムを管理するうえで撤退は許されない」(幹部)と、認可法人を設立。大手各社の積立金は機構への「拠出金」として義務化し、実務は原燃に委託することを決めた。

だが、ウラン燃料の再利用計画の実現は遅れている。原燃は一九九三年に再処理工場に着工したが、トラブル続きで工期を計二十二回延期。建設費の見積もりは当初の七千六百億円から、現在は二兆二千億円に膨らんでいる。

経産省は費用総額を少なくとも十二兆六千億円と試算している。しかし、MOX燃料を作れるようになったとしても、使用済みのMOX燃料については再利用や処分の方針が決まっておらず、上限は不明だ。

二月の審議会では、大手電力会社の経営環境の変化などに応じて「費用を確保する方策を含め、必要に応じて適切な措置を講じる」との報告書を作成。この文言を利用し、すべての電力利用者に負担させる議論に発展する可能性もある。

プルトニウムをめぐっては、再利用の過程で増やすとされた高速増殖炉「もんじゅ」の計画が、政府が一兆円を投じながらほとんど稼働せず、廃炉の方向で調整が始まっている。




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