厚生年金と健保 対象拡大 「106万円の壁」超えで加入

十月から厚生年金と健康保険の加入条件が変わり、対象が広がった。

Q 厚生年金と健康保険はどのようなもの?

A どちらも会社員などの勤め人を対象にした社会保険の一種で、保険料を労使で分担する。厚生年金は、二十歳になると加入義務がある国民年金(基礎年金)に上乗せして入る公的年金で、保険料率は賃金の約18%。医療の面では、大企業などがつくる健康保険組合や都道府県ごとに運営する全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入することになる。保険料率はそれぞれ異なる。

Q 加入条件はどう変わったのか。

A これまでは正社員のほか、週三十時間以上働いているパートなどの人が対象だった。十月からは(1)勤務時間が週二十時間以上(2)残業代などを除く所定の賃金が月八万八千円(年約百六万円)以上(3)企業規模が従業員五百一人以上(4)一年以上働く見込み(5)学生ではない-に条件が変わり、推計約二十五万人が加入対象になった。非正規で働く人にもセーフティーネットを広げる狙いで二〇一二年に法改正し、今年十月に施行された。

Q 加入にはどんなメリットがあるのか。

A 厚生年金では、満額でも月約六万五千円の基礎年金分に加え、払った保険料に応じた給付金(報酬比例分)を受け取ることができるため、老後の年金額が増える。事故や病気で日常生活が困難になった場合に受け取る障害年金や、死亡時に遺族に支払われる遺族年金も手厚くなる。また健康保険に加入すると、けがや出産で仕事を休んだ場合に、賃金の三分の二程度の給付金を受け取ることができる。

Q 保険料負担が増えないのか。

A 厚生年金と健康保険の保険料は事業主と分担するため、自分で国民年金と国民健康保険の保険料を払っている人は負担が減る場合もある。一方、夫の扶養家族として保険料を払う必要がなかった主婦は、自ら加入することで保険料負担が生じ、手取り収入が減ることがある。負担を嫌って就業調整する人や負担分を補うため勤務時間を増やす人など、これを機に働き方を見直す動きが広がりそうだ。

Q 企業にとっても負担が増える。

A 懸念する声は多いが、それでも人手不足に備え、保険料を負担してでも人材を確保しようとする企業も少なくない。政府は五百人以下の企業でも労使の合意があれば加入できるとする法案を国会に提出している。




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