三菱自動車、燃費再測定報告も不正 ミラージュは12年の値を流用

国土交通省は十五日、三菱自動車が燃費不正問題で燃費の再測定をした生産中の九車種のうち「ミラージュ」について、過去のデータを流用し、実際には測定していなかったと明らかにした。七車種は計測結果のうち良い結果ばかりを使うなど、国の方式を行わなかった。従ったのは一車種だけだった。

国交省自動車局は「カタログの燃費値に近づけようとした意図が疑われる。不正が明らかになった後になされたのは、常軌を逸する事態と言わざるを得ない」と厳しく批判。三菱自の益子修会長兼社長を同省に呼んで厳重注意し、再発防止策を今月末までに報告するよう指示した。

益子氏は報道陣に「順法意識が欠けていた」と謝罪した。再測定をしなかった理由などは今後調べるという。

三菱自の燃費不正問題について、国交省は今月二日に同社の立ち入り検査を実施。十五日に検査結果を公表した。

国交省によると、不正発覚後の四月二十八日、国の外郭団体がデータ測定方法について「五回程度計測し、中央値を中心とした三回分を選択する」方式でやることを説明した。

しかし三菱自が従ったのは「ミニキャブ・ミーブトラック」一車種のみで、その他は数十回計測したうち燃費性能が良く見えるデータばかりを抜き出すなど「いいとこ取り」(益子氏)をしていた。再測定をしなかったミラージュは二〇一二年のデータを使った。

再測定の未実施などについて役員も把握していなかったという。国交省は「経営陣のチェックの欠如が今回の事態を招いた要因の一つだ」と指摘した。

三菱自では四月以降、軽自動車四車種の燃費データ偽装や、二十五年間にわたり法令を逸脱した方法で測定していたことなどが相次いで発覚。軽四車種を除く販売中の九車種の燃費データを三菱自が再測定した際も、燃費を良く見せかける不正があったことが八月に判明した。

燃費不正問題を起こした三菱自動車が、消費者や業界内部から繰り返し批判を浴びたにもかかわらず、再びずさんなことをしていた。実際に行っていない燃費の再測定をしていたかのように報告した同社に対し、国土交通省も「常軌を逸する事態だ。常識的に理解しにくい」(斧田孝夫審査・リコール課長)と怒りをあらわにしている。

国交省によると、三菱自は国の燃費試験を担当する外郭団体から、偏りのないデータ測定方法について説明を受けた。それにもかかわらず、説明通りの方法で再測定をしたのは一車種だけ。社内で国の方法で再測定することを共有しておらず、経営陣もチェックしていなかったという。再測定が行われた四月下旬から五月は日産自動車との提携交渉が進んでいた時期。経営陣が再測定を軽視していたと言われても仕方が無い。

国交省内には三菱自の測定担当者たちが故意に不正を犯したのではなく、法令の趣旨を理解していなかったとの見方もある。同社の益子修会長兼社長も「現場が本当に悪いと思っていたか疑問だ」と述べ、意識の低さを認めている。

「もはや考えられないところがある」(斧田課長)と、国交省からあきれる声も出ている三菱自。信頼回復はまた先に遠のいた。 




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