挑発と恐怖政治の日常 北朝鮮建国記念日

北朝鮮は九日、建国六十八周年を迎える。今年三月に国連安全保障理事会が制裁強化の決議を採択して以降、二十発を超えるミサイルを発射。十二月に最高指導者就任から五年を迎える金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、国際社会の圧力には屈しないという対決姿勢を内外に示すと同時に、高官の処刑など「恐怖政治」を続けることで、体制の引き締めを図っているとみられる。

建国記念日を二日後に控えた七日夜、中国・北京の北朝鮮大使館では宴会が催され、チベット自治区出身で中国全国人民代表大会副委員長のチャンバ・プンツォ氏が出席。北朝鮮による挑発行為がやまない状況でも、両国は一定の友好関係を保っているもようだ。

中朝貿易も、建設資材や日用品などを中心とした輸出は制裁決議以前の水準を維持している。北朝鮮関係者によると、北朝鮮の物価は安定しているとされ、米国の専門家は「制裁強化にもかかわらず、予想とは違う現況」と指摘する。

北朝鮮は五日、日本海に向けて「ノドン」とみられる中距離弾道ミサイル三発を発射。制裁決議以降に発射したミサイルは合わせて計二十一発に上る。

労働党機関紙・労働新聞は六日、「制裁によって万事が解決するように考えるのは誤算」と反発。「米国の敵視政策は、われわれの核武力の高度化を強く後押しするだけ」と強調し、核やミサイルの試験と増産を続ける方針を示した。北朝鮮消息筋は「核戦力強化の動きで、体制存続の要である軍内部の結束を図っている」とみる。

正恩氏は五月に開いた三十六年ぶりの党大会や六月末の最高人民会議で新設の最高ポストに就任し、権力掌握を進めてきた。しかし、幹部を容赦なく粛清する「恐怖政治」を体制の引き締めに利用する手法は以前と変わらぬままだ。

韓国統一省は八月末、北朝鮮の金勇進(キムヨンジン)副首相が銃殺されたと発表。金正恩政権発足後、処刑された幹部は百人以上に上る。背景には幹部らに対する正恩氏の疑心暗鬼があるとみられ、韓国の情報機関・国家情報院は七月、正恩氏が身の危険に対する不安から不眠症に悩まされていると報告している。




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