【健康カフェ(48)】糖尿病と網膜症 放置で失明も 必ず眼科受診を

糖尿病歴15年という60代後半の男性が先日、私のクリニックを受診しました。これまでは別の診療所に通院していたものの、長年同じ薬を出すだけで状態をきちんと説明してくれないことから、糖尿病の専門医のいる医療機関で一度、きちんと診てもらおうと思ったそうです。

血液検査をしたところ、健康のために7%以下が望ましいとされるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー、過去1〜2カ月の血糖値の平均)が8%台と、あまり良い状態ではありません。高血圧と脂質異常症もあり、これらの薬を含めて投薬を調整することにしました。さらに目の合併症が気になり、「眼科で何か言われていますか?」と尋ねると、「眼科にはかかってません。良く見えるのになぜ?」といいます。

糖尿病の合併症の一つに網膜症があります。網膜は眼球の壁の一番内側の部分で、細い血管が張り巡らされています。高血糖の状態が続くと網膜の細い血管が詰まったり傷付いたりして網膜の機能が損なわれます。この状態を網膜症と呼び、進行すると徐々に視力が低下し、失明することもあります。世界的には成人の失明の原因として最も多いのが網膜症で、日本でも失明原因の第2位です。

網膜症は糖尿病患者の2割程度に見られます。糖尿病になってからの期間が短いとほとんど見られませんが、長くなるにつれ増えていきます。

健診などを受けていないと糖尿病を発症していても、長い間気付かずに過ごしてしまうことがあります。その場合、糖尿病と診断された時点で網膜症が見つかることがあり、その後も進行していくことが多いため注意が必要です。

網膜症かどうかを調べる眼底検査は眼科で行います。網膜症は、軽度の場合は見えにくさなどの自覚症状がないため、眼科医のチェックが欠かせません。

網膜症の進行を抑えるには、血糖のコントロールが何より大切ですが、すでに進んでいる場合はレーザー治療や薬物治療、手術などが行われます。

冒頭の患者さんが眼科で診てもらったところ、少し進んだ網膜症がありました。レーザー治療でどうにか悪化を食い止めている状態です。幸い現在は、薬で血糖値や血圧、脂質異常がコントロールできており、いい状態が続いています。

糖尿病の治療中なのに眼科を受診したことがない方は、年に1回は眼科で眼底検査を受けるようにしましょう。(北原ライフサポートクリニック内科医 下島和弥)




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