電力自由化に明暗 ガス会社好調、通信系などはキャンペーン“夏の陣”を展開

4月の電力小売り全面自由化で新規参入した「新電力」の明暗が分かれてきた。ガス会社の電力販売は好調で、目標を引き上げる動きも出始めた。一方、通信会社系などは苦戦。新たなキャンペーンに乗り出すなど、電力自由化への関心を再び高めようと躍起になっている。

「大手電力より割安なのに、ガス会社以外は契約数が少ない」。ある新電力関係者はこうこぼした。

新電力への切り替え件数は、自由化から3カ月が経過した6月末時点で、全国で126万4400件。総契約数に占める割合は2%強にすぎない。比較的乗り換えが多いとされる関西でも26万500件で、2・6%にとどまった。

もっとも、電力販売に参入したガス会社は、長年築いてきた強固な販売網を生かし、契約を順調に獲得している。大阪ガスは7月27日時点で契約が約17万件に到達。初年度の目標とする20万件の85%にのぼり、目標達成は濃厚だ。東京ガスは初年度目標の40万件を7月20日に突破し、目標を53万件に引き上げた。

一方、他の新電力は、全体の切り替え件数が数%台の前半にとどまる現状を「想定外の低さ」と危機感を募らせる。関西を中心に展開する新電力関係者は、「多くの消費者が様子見なのだろう。その間に関心が冷めてしまう」と懸念。新聞やテレビで電力自由化が取り上げられる機会が減少する中、関心を喚起する必要性を強調する。

「auでんき」を展開するKDDIは、電気使用量に応じて電子マネーを顧客に還元するサービスを展開。6~8月には関西など4地域で、新規加入者に対し最大還元率を5%から10%に引き上げている。

ケーブルテレビのジュピターテレコムは、電気使用量の多い戸建て住宅の新規加入者に、最大1万2千円を割り引くキャンペーンを8月末まで展開。関西電力系の通信会社ケイ・オプティコムは、基本料金1296円の無料キャンペーンを9月末まで拡大した。

そんな中、関西電力は7月27日、現状より値下げする新料金プランを10月に導入すると発表。3人家族の標準的な電気使用量(350キロワット時)の場合、年間3500円(3・3%)安くなる。関電からの乗り換え獲得を狙う新電力はさらなる努力が求められる。

京都大経済学部の依田高典教授(行動経済学)は、新電力への切り替えについて「多くの消費者は電気使用量を細かく把握しておらず、本当に得をするのか分からない。数%程度の安さでは検討も面倒で、現状を変えるメリットを感じないのだろう」と指摘。「新電力は、はっきりターゲットを絞った大胆なサービスを打ち出さないと、切り替えの動きは活発にならないだろう」と話している。




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