「かかりつけ薬局・薬剤師」制度がスタート

腰の痛みで整形外科、風邪気味で内科など、複数の医療機関を受診する機会があると思います。病院からもらう処方せんさえあれば、基本的にはどこの調剤薬局でも薬の受け取りはできますが、薬局を1か所に決め、「かかりつけ」にしておくと、さまざまなメリットがありそうです。

◆「かかりつけ薬局・薬剤師」という新しい言葉が使われ始めたのをご存じでしょうか。「かかりつけ医」と同じ意味で、身近でよく行く調剤薬局を指します。複数の医療機関からもらう処方せんの履歴や内容を一元的に管理でき、複数の薬を服用しているときなど、注意すべき飲み合わせや副作用など、薬にまつわるトラブルを回避しやすくなります。

◆この取り組みは、国が2016年4月から始めた新制度です。その役割としては、患者の服薬情報を一元的かつ継続的に把握することで、地域の人々から信頼される「かかりつけ薬剤師・薬局」を目指すとしています。

◆では、どんなメリットがあるのでしょうか。1つは薬の重複服薬を未然に防ぐことができる点です。例えば、腰痛で整形外科からに痛み止めを処方してもらいながら、歯の診療でも同じ痛み止めを処方されるケースがあります。薬には用量が定められており、効果の同じ薬を重ねて服用すると、重篤な健康被害につながる場合もあるからです。

◆飲み合わせの悪い薬(併用禁忌薬)も存在するため、患者本人が見落としがちな危険にあらかじめ気づくこともできます。例えば、ドラッグストアでも販売されている解熱鎮痛剤は、ほかのかぜ薬や鎮痛剤と併用しないよう使用上の注意が明記されています。薬剤師にとっては基本知識ですが、一般の患者にはわかりにくい面もあります。

◆かかりつけの薬局や薬剤師がいれば、薬についてわからないことや不安などを相談し、飲んでいる薬の相互作用がないか、副作用として考えられる症状、注意点などについてもアドバイスを受けることができます。過去の服薬履歴から、患者の体質を把握し、薬物アレルギー、禁忌薬がないかなどをチェックするのも容易です。

◆かかりつけ薬局・薬剤師は、医師選びと同様、自分で選ぶのにこしたことはありません。ポイントは、行きやすい場所にあり、話しやすい、聞いてもらえそう、感じがいいなど本人の主観でいいでしょう。できれば薬や体の状態を継続的にていねいに見守ってくれ、知識が豊富で熱心に調べてくれる人が安心できそうです。

◆かかりつけ薬局や薬剤師を推奨する制度はまだ始まったばかりです。高齢化社会が進み、医療費の増大が社会問題になっているなか、薬の重複や飲み残しを回避し、医療費削減の一策となるのかと期待されています。行きつけの薬局や薬剤師を持つメリットを求めて、試してみる価値はありそうです。

(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子)




http://news.goo.ne.jp/article/kateinoigaku/life/kateinoigaku-20160629140517007.html