高知市出身の「新卒フリーランス」 内定辞退しブログで生計

人気ブログ「やぎろぐ」を主宰する八木仁平さん(23)=高知市出身=が2016年春、早稲田大学を卒業し、6月から軽のキャンピングカーで全国を転々としている。内定したIT企業を辞退し、ブログで生計を立てる自由な暮らしを選んだ彼は「新卒フリーランス」と呼ばれ、ネットで賛否両論を巻き起こした。旅に出る前の本人に話を聞いた。

刺激的な見出しが並ぶ八木さんのブログ。

(渋谷ハチ公前でフリーハグではなく、フリービンタをすると愛は生まれるのか〉
(看護師の家にお泊まりして聞いた人が死ぬ前に後悔する3つのこと〉

2014年10月に始め、今では月70万人に読まれているという。ブログで商品を紹介するビジネスなどで、3月時点で月収100万円を超えたと公表。稼いだ事実を隠さず、挑発的な内容にバッシングも多い。ノリノリのイメージを抱いていたが、会ってみるとシャイな青年だ。

「目立ちたがり屋ですが人前に出るのは嫌。初対面の人と話すのも苦手で」と語る。

土佐高校卒業後、早稲田大学へ。バドミントンサークルに入る。代わり映えしない生活に危機感を抱き、1年の春、ヒッチハイク西日本一周の旅を決行した。その経験をブログに書くと「多いときで1日千人に読まれた」そうだ。

3年生の秋に「就活に有利かも」と再びブログを始めた。本名や学歴、顔を出し、赤裸々な体験を書いた。1時間千円で自らをレンタルするサービスを始め、「おっさんのナンパ」に付き合うなど面白い人々をネタに。2014年10月は月間7千プレビューだったが、2015年12月に36万超を記録した。

就職活動では第1希望のIT企業のエンジニアとして内定をもらった。だが、入社前の研修でプログラミングを学ぶうちに、「自分には向いていない」と気付いた。「新卒で入社し、3年は働け」が世間の常識だと思っていたが、「新卒が重宝されるのは日本だけだ」と考え直した。

すでにブログで会社勤めよりはるかに高い月収を得ていたこともあり、2月に内定辞退を決めた。

高知市で美容室を経営する父、勝二さん(58)は「やりたいことは自分次第で何とでもなる」と応援してくれた。

2016年3月に就職をやめた経緯を書くと反響は大きかった。「新卒のプラチナチケットを捨てた」「キャンピングカー生活ってただの住所不定無職だから」と痛烈な批判。一方で「うらやましい」「楽しく生きたもん勝ちだね」の声もあった。

就職せず独立した新卒の仲間と「新卒フリーランス」とブログで書いていると、その言葉がネットで話題に。

突出した経験がないとブログは読まれない。そこで次の一手にとキャンピングカーを選び、これまでのブログ収入350万円で購入。家賃もかからず、「東京に住めば引っ越しだけで50万もかかる」。実際、東日本大震災を契機に、移動可能なキャンピングカーは見直されつつある。

高さ約180センチ、奥行き約3メートル、車内は意外に広々。ソファはベッドになり、テーブル、水道、こんろ付き。電気は走行による充電とソーラーパネルで賄う。トイレや風呂はなく、夜間は高速道サービスエリア、道の駅での車中泊で温泉に通い、ゲストハウスなどで過ごす。

6月上旬に高知を出発。岡山、広島、山口、福岡などを回った。クーラーがないため、7月は北海道に渡る計画。食事はご当地グルメやコンビニ。食費、ガソリンや温泉代などで、1日5千円以内で生活している。

「会社員なら決まった月給はもらえる。僕の場合、日々、成果を出さないと。けど、その方が生きている感じがする」

とはいえ手当も保障もない。「何があっても100パーセント自己責任。病気だとか、明日ブログが無くなったらどうしようとか、不安はありますね」と苦笑する。

投資はキャンピングカーのみの「低リスク、低コスト」と強調。「会社を起こせば人も雇うし、自分だけの責任じゃ済まない。ブログは失敗してもネタになる」とさばさば。

一生、ブロガーでやっていくつもりはない。「自分を売り込むための手段の一つです。これをきっかけにいろんな人々に出会い、新しい仕事をつくりたい。就職するのもありかな。2年後はブロガーじゃなくなっていたい」と夢を語る。

会社や家族、家に縛られない独身の若い今だからできる挑戦。キャンピングカーの自分探しの旅は始まったばかりだ。

「何かをやりたいと言いながら、人は死んでいく。今できることなら、今したい」




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