<ベビーシッター>無届け野放し 規制強化も実効性なく

インターネットでベビーシッターと親を仲介する「マッチングサイト」の登録者の大半が、今年4月から個人シッターに義務付けられた都道府県への届け出をしていないことがサイト運営者への取材で分かった。シッターを名乗る男に預けられた男児が死亡した事件を受けて制度が改正されたが、サイト側に対する規制がないこともあり、実効性を伴っていない実態が明らかになった。

厚生労働省が名前を公表している主要な9マッチングサイト(登録者は百数十人から千数百人)を運営する8運営者のうち7運営者が取材に応じた。5運営者が、届け出済みのシッターは登録者の2割未満と回答。1運営者は約半数が届け出済みとしたが、1運営者は届け出状況を把握していないとした。無届けシッターを表示しない措置を取ったのは1運営者だけで、大半は検索できる状態が続いていた。

2014年3月に起きた男児死亡事件を受け、厚労省は有識者の専門委員会を設置して改善策を検討。省令を改正し、今年4月以降は1日に預かる子どもが1人の場合でも個人シッターに児童福祉法に基づく届け出を義務づけ、違反者には50万円以下の過料を科すようにした。サイト運営者向けのガイドラインも作成し、届け出済みのシッターだけをサイトに登録するよう要請した。

だがガイドラインに法的拘束力はなく、5運営者は新制度を知りながら届け出をしていない登録者がいるとした。届け出の有無が分かるよう表示しているサイトもあるほか、2運営者が無届けの人の登録を消す意向を示し、別の2運営者は仲介成立時に届け出の有無を確認するとした。一方で「マッチングサイトへの規制を強化すれば、質の悪いシッターは闇サイトに流れるのではないか」と指摘する運営者もあった。

厚労省の担当者は「シッターの指導監督権は自治体にあり、届け出を促してもらうほかない」としている。これに対し、ある自治体の担当者は「どの自治体が掘り起こし、届け出を促したら良いのか判断できない」と説明した。

専門委の委員長を務めた松原康雄・明治学院大学長(児童福祉論)は「無届けシッターの情報を掲載するサイトの規制は難しい。自治体が優良サイトに補助金を出したり、利用者に推薦したりしながら、質の低いサイトを市場から駆逐するしかない」と話す。

◇ 質の確保、対策が急務

個人ベビーシッターの届け出制が導入された後も、インターネット上で無届けシッターが紹介されている実態が明らかになった。待機児童の解消が進まない中、個人シッターは保育を求める親の一定の受け皿となっているが、質が担保されているとは言い難く、対策が求められている。

個人シッターと利用者を結ぶ「マッチングサイト」の運営者の中には、登録前に講習受講を義務付けたり、保育士の資格を求めたりしている企業もある。こうしたサイトの登録者には、保育士の資格を持ちながら勤務形態や賃金がネックとなって保育園を辞めた「潜在保育士」も多い。

だが、そもそも個人シッターに特別な資格は必要とされておらず、行政のチェックも行き届いていない。ある運営者は「届け出の有無では安全かどうか判断できない。自治体が面談などをして質をチェックしたうえで、研修などを通じてフォローを続ける仕組みにしてくれれば」と提案した。保育実績や事故時の保険の加入状況などを自治体などが審査すべきだという指摘も出ている。

質の低い個人シッターがネット上に居残り続ければ、再び事件が起こりかねない。子どもの安全を守るために、シッターの自己申告だけに頼らない仕組みを構築することが急務だ。




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