低所得高齢者に3万円 臨時給付金はばらまき?

低所得の高齢者へ国が1人3万円を配る「臨時福祉給付金」の支給が兵庫県内の市町でも進んでいる。対象は全国約1130万人、県内で約54万人になるとされる。安倍政権の経済政策「アベノミクス」が掲げる賃金引き上げの波及効果が届きにくい65歳以上の支援が名目だが、国が要請する支給時期は参院選と“一致”。有権者からは「選挙に向けた点数稼ぎでは」といぶかる声も上がる。

「平成28(2016)年前半の個人消費の下支えができるよう、可能な限り速やかに開始するもの」

1月下旬、同給付金の事業費と事務費計3624億円を盛り込んだ国の補正予算が成立すると、神戸市に厚生労働省から書類が届いた。同給付金制度の概要のほか、6月末までの支給を求める内容が記されており、担当者は「参院選前の政治的な動きかな、と感じた」と明かす。

給付の対象は、住民税が非課税の65歳以上(来年3月末時点)。同市では高齢者の約4割にあたる約15万人になる。支給のピーク真っただ中で、担当者は「要請のあった今月末までにできるだけ多く支給したい」とする。

姫路市は対象の約5万5千人のうち、約95%の申し込みを受け付けた。「支給額も大きく市民の関心は高い」と担当者。西宮、尼崎市も対象の約9割が申請を済ませたという。

一方、有権者の受け止めはさまざまだ。

「3万円は日常生活に回るだろう」。神戸市灘区の男性(83)は1人暮らし。月の収入は国民年金の約7万円だけで、貯蓄を切り崩して生活する。「給付金があってもぜいたくなんてできない」と声を落とす。

夫婦で計6万円を受ける相生市那波野の自営業男性(65)は「支給はありがたい」とする半面、違和感を口にする。「消費税増税を延期し、国の財源は限られる。公共交通機関の充実や害獣への対策など、生活に密接した部分にお金を投じるべきではないのか」

13年の前回参院選の投票率は52・61%。総務省によると、65~69歳が69・98%、70~74歳が70・94%で、若い世代よりも高かった。

「選挙前のばらまきにしか思えない」。育児女性を支援するNPO法人「神戸ベイビーカフェ」(神戸市灘区)の榎本紘子理事長(37)の口調は厳しい。6歳と4歳の2人を育てる母として「財源を保育士の確保や待遇改善に回せなかったのか」と語気を強めた。

【評価できる点ない】

関西学院大経済学部・上村敏之教授(財政学)の話 

評価できる点がほとんどない施策という印象。選挙前に投票率が高い高齢者を狙い撃ちにしたと指摘されても仕方がない。消費を下支えし、消費税増税に備えるという目的も、増税延期で成り立たなくなった。地方自治体の職員数が減る中、作業量を増やすことにもつながり、国が地方の事情をどこまで考えているのかも疑問に感じる。




http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201606/0009226230.shtml