くら寿司のサイドメニューは何がスゴイのか 「しゃりカレー」に続くヒット作が次々に登場

回転すし大手「くら寿司」を展開するくらコーポレーションは、上期(2015年11月〜2016年4月)に純利益23億円と前年同期比2割増で着地。その牽引役となったのがサイドメニューだ。

仕入れ額の約7割を輸入水産物に頼るくら寿司にとって、昨今の円高基調がプラスになることは確かだ。ただ、利益が伸びている主因は、魚介類の使用が少ないすし類以外の商品、いわゆるサイドメニューの開発強化にある。

くら寿司はラーメンやコーヒー、デザート類といったすし店らしからぬメニューの拡充に、いち早く取り組んできた。象徴的なのが、2015年7月に発売した「しゃりカレー」だ。シャリ(酢飯)とカレーを組み合わせた異色メニューだが、発売から3カ月で累計100万食を突破する人気商品になった。同年9月には子どもが食べやすい甘口を投入。さらに、11月には「特製とんかつ」や「ふわとろ玉子」などのトッピングを追加。ラインナップを拡充したことで需要が喚起され、好採算のカレーが売れると、既存店の利益に安定して寄与するという好循環が生まれている。

今年5月に新投入された「冷やし中華はじめました」

余勢を駆って、2016年3月には肉厚のうなぎを使用した「すしやのうな丼」を投入。さらに、5月には7種の魚介だれを使った「冷やし中華はじめました(注:これが商品名)」と、「プレミアかき氷」を発売した。

このようなサイドメニューはこれまでくら寿司の売上高の20〜25%を占めていたが、今上期は3割近くにまで増えた。

くら寿司は年間2000種類ものメニューを試作していることで知られるが、実はそこから商品化までのハードルが高い。

毎月100種類以上の試作品の中から、商品開発トップの久宗裕行常務が30種類を選別。その中から、毎月実施される「商品ミーティング」で、「味を見極めるために、酒もタバコもやらない」と公言する田中邦彦社長の審査を経て、商品化候補を厳選する。

「しゃりカレー」の開発の際は、「ほかの役員がうまいと評価しても、私だけは10回以上はダメ出しをした」と、田中社長は明かす。そしてようやく、一部店舗での実験販売が始まる。

このような過程で開発したサイドメニューの中で、1番人気は茶わん蒸し、2番人気はうどんだという。ともに昆布を水から炊き、カツオブシや煮干を加えただしを使用する。すしメニューとの相性が良く、定価180円、130円と安いことも支持されている理由のようだ。3位は高齢者にも人気のうな丼と、幅広い層にウケるラーメンやコーヒーが競い合っている。

力を注ぐのはサイドメニューの拡充だけではない。現在、大阪府貝塚市の約1万5000平方メートルの土地に、漁港から仕入れた天然魚を丸ごと加工できる工場を建設中。総額20億円以上を投資し、2016年10月完成、2017年の本格稼働を目指す。

新工場稼働で何が変わる?

くら寿司は福井、三重、高知などの水産会社と契約し、船1隻が水揚げした魚を全量買い取る仕組みを構築している。貝塚新工場を稼働させることで、この全量買い取りを加速させる狙いだ。

全量買い取りが増えれば、さらなる原価率の改善につながる。たとえば、流通量が少ない真鯛やサワラやスズキ、カジキなども一般ルートより安く調達することが可能になる。

全量買い取りを進めることは品揃えの強化にも直結する。くら寿司は、 ボラやマヒマヒといった回転すし店では珍しい魚を100円で提供する「天然魚プロジェクト」を展開しており、調達先が増えればこのプロジェクトのラインナップを広げることができる。

業績の見通しはどうだろうか。くら寿司を展開するくらコーポレーションは、今2016年10月期について、売上高1100億円(前期比4.5%増)、純利益41.6億円(同0.4%増)と過去最高純利益の更新を見込む。

が、今上期の既存店売り上げは前年同期比2.3%増と、会社の通期見通しの同1.5%減を超過する勢いで推移しており、会社予想はさらに上振れる公算が大きい。

会社予想が上振れそうなだけではない。注目すべきは、利益率の上昇である。今上期の営業利益率は6.4%と、前年同期に比べて0.9%もアップした。回転すしは鮮度が求められる魚介類を扱うこともあり、原価率が高く利幅は薄いとされる。一般的な外食チェーンの原価率約30%に対し、回転すしチェーンは46〜48%と言われる。ところが、くら寿司の今上期の原価率は45.7%と、前年同期に比べて0.5%改善し、業界平均を下回った。これらはサイドメニューの強化が功を奏しているためだ。

外食業界全体が低迷する中にあって、回転すし市場は拡大基調をたどる。ただ、4強と言われる「あきんどスシロー」「はま寿司」「カッパ・クリエイト」との競争は激しさを増している。特に、ゼンショーホールディングスが運営する業界3位のはま寿司は年間50店以上の出店を続けており、「売上高で業界2位のくら寿司は、来年あたりにはま寿司に抜かれるかもしれない」(業界関係者)との見方もある。

この見方に対し、くら寿司は売上高にはこだわらず、シェア競争に執着しないことを強調する。年間20店舗程度の出店で、いたずらに規模を追わない方針だ。サイドメニューや天然魚商品のさらなる強化により、「名より実」を取る。そうした姿勢が最高益を続ける強さの理由だろう。




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