猫の島が大人気 CNNが取り上げ話題に 福岡の沖へ猫好き集う 

福岡でいま、国内外の観光客らが続々と訪れる「猫の島」がある。福岡県新宮町の沖合7・5キロに浮かぶ相島(あいのしま)だ。漁業が中心で、人口285人(4月末現在)に対し、猫は推定で100匹近く。食堂が1軒あるだけの小さな島だが、「のどかで癒やされる」と評判だ。初夏の心地よい潮風に誘われて、6月初旬、島へと渡ってみた。

新宮漁港から町営渡船で17分。島の渡船場に降り立つと、まず目についたのは高さ50センチほどの陶器製の立派な招き猫。島のお寺の住職が来島者を歓迎しようと最近設置したという。

すぐ隣の防波堤では、釣り人のすぐ横で、黒と茶色の2匹の猫がじっとたたずんでいる。「釣った魚がお目当てなんですよ」と島の女性が笑いながら教えてくれた。港の前の道路を歩いていくと、すぐに4〜5匹の猫たちと遭遇。首輪をした放し飼いの猫もいるが、大半は野良猫だ。体をすり寄せてくる人懐こい猫もいれば、人が来ても知らんぷりして日陰で寝ている猫もいて、島の猫はなんともマイペース。

福岡市内から来たという30代のカップルの男性は「島に来るのは2回目。猫カフェに行くより、ここの方がのんびりできていいです(笑)」と話す。

新宮町おもてなし協会事務局長の木本紳一郎さん(39)によると、島はもともと猫好きの間では人気の猫スポットだったが、2013年11月、米CNNに、世界の人気猫スポットの一つとして紹介されたことなどがきっかけで、アメリカ、ヨーロッパ、中国、台湾、タイ、韓国など海外からの観光客が増え始めたという。その後、ネットをはじめ、新聞やテレビなどでも報じられて評判が広がり、「最近は猫ブームということもあって、国内からも多くの方に来島いただいています」(木本さん)。

町によれば、13年度には9万2800人ほどだった町営渡船の年間乗客数は、15年度は11万1900人と1万9100人も増加。週末ともなると船は満員になることもあるという。そこでこの4月末から、町はそれまで島になかった観光案内所を設置し、島の観光名所などをPRしはじめた。

猫と出会える場所は、主に相島小学校から相島漁港を経て神宮寺に至るまでの道路や路地裏など。いまの季節は繁殖期で、漁網のかげや岩場では、母猫が生まれて間もない子猫たちの子育ての真っ最中。子猫の体をなめまわしたり、子猫を口でくわえて安全な場所に移動させたりと忙しそうだった。

また、島の人が軒先で猫に、調理して残った魚のアラを差し出し、猫たちがそれをおいしそうにほおばる光景も。「昔から猫はたくさんいたし、別に意識するわけでもない。好きな人もいれば嫌いな人もいるけど、ごく自然に付き合っているという感じ」と島の女性(53)は話す。

そんな島猫たちを眺めていると、大きなカメラバッグをさげた男性と出会った。福岡市南区で居酒屋を経営するアマチュアカメラマンのゆきじろうさん(51)だ。「5年前に趣味でカメラを購入したとき、動物写真家・岩合光昭さんの猫の写真を見て、僕もこんな写真が撮れたらなと。それで調べるとこの島に猫がたくさんいるというのを知り、一度訪れたらハマってしまったんです」。以来、月に2、3回は必ず島にわたり、ずっと島猫の写真を撮り続けている。撮った写真はすぐSNSにアップ。この5年間で撮りためた作品は2千枚以上になるというからすごい。

「島では人と猫がともに自然体で共存しています。一番の魅力は、美しい島の景色と一緒に島猫たちを撮れることです」島は周囲約6キロ。地図で見るとハートを逆さまにした形をしている。歩いても2〜3時間ほどで1周できる島内には、石積みの遺跡や珍しい形をした巨岩など見どころがたくさん。真っ青に広がる玄界灘を一望しながらのハイキングがおすすめだ。海釣りやバードウォッチングの人気も高い。

歴史的には、朝鮮王朝から江戸幕府に派遣された朝鮮通信使が11回訪れた島としても知られ、日韓の団体が世界記憶遺産登録を目指している。「猫と接する以外にも、島の歴史や魅力をもっと知ってもらって、島の活性化に繋げられるような方策をいま模索中です」と木本さんは話す。

博多駅からだと、電車、バス、船と乗り継いても1時間少し。アクセスが便利で気軽に行けるのも人気の理由だ。ゆったりした島時間に身をゆだねて、ハートウォーミングなひとときを過ごしてみては。




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