「1食100円でいいだろ」とすごみ…生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」

所有物件に住まわせていた男性3人の生活保護費を着服したとして、相模原市緑区の不動産会社社長の男の被告(62)(詐欺罪などで起訴)が31日、業務上横領容疑で神奈川県警に逮捕された。

被告の物件には、ほかにも多くの生活保護受給者が居住。住人たちは取材に、「訳が分からないうちに金銭管理契約をさせられた」などと語った。県警は、生活困窮者を集めて保護費を搾取する「貧困ビジネス」を行っていたとみて調べを進めている。

「俺の物件に入れば、すぐにでも生活保護費をもらえるよ」。同市の公園で、元ホームレスの男性(59)が被告に誘われたのは4年前の春。「手持金が無くても入居できます」。そんなチラシを渡された。

被告に連れられて、その日のうちに市役所で生活保護を申請。被告は手続きに詳しく、「早くしろよ」などと職員をまくし立てていたという。

別の元ホームレス男性(62)は入居時、被告の指示で、複数の書類に署名させられたと証言する。「読めない速さで、どんどん紙を出され、ハンコは向こう(被告)が押していた。その中に金銭管理契約書もあったのだと思う」

住む場所は得られたものの、月約7万6000円の保護費は全て管理され、週に5000円を「生活費」として渡された。服は買えず、散髪も無理。スーパーの特売日にカップ麺やレトルト食品をまとめ買いし、少しずつ食べた。

被告に抗議したが、「アパートの管理費は月2万5000円」「第2の敷金」などと言われ、お金はもらえなかった。「生活保護というのは最低限の生活だ。1食100円でいいだろ」と、すごまれたこともあったという。

「生活保護の仕組みをよく知らず、つけ込まれたのだと思うが、『最低限の生活』をする者から金を搾り取るなんて……」。男性は同じ境遇の住人たちと、保護費を取り返すための訴訟を考えていると語った。

「貧困ビジネス」は10年ほど前から都市部で顕在化し始め、リーマンショック後に失業者が増えた頃から広がったとされる。

生活保護費は、都市の規模や受給者の年齢などに応じて自治体ごとに金額が決められており、家賃や引っ越し代を支援する「住宅扶助」と、食費などの「生活扶助」がある。貧困ビジネスの手口も、ホームレスを集めて生活扶助を“ピンハネ”するもの、転居費などを架空請求して詐取するものなど多様化している。

実態に詳しい首都大学東京の岡部卓教授は「被害者側が搾取に気づかなかったり、『屋根があるところに住めるだけマシだ』と考えてしまったりするケースが多く、不正が発覚しづらい実情がある」と指摘する。




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