都市部で増加する大腸憩室症(憩室炎)って?

大腸憩室(だいちょうけいしつ)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。大腸の一部が膨らんだもので、特に高齢者に増えています。憩室が炎症を起こすと便秘や下痢などの症状のほか、排便障害や大量出血を招くこともあり注意が必要です。

◆大腸憩室とは、腸壁の弱い部分から腸壁そのものや腸粘膜が外側に飛び出し、袋状に膨らんだものです。大腸憩室が存在するだけの状態は「大腸憩室症」と呼ばれ、多くは症状がなく、治療の必要もありません。しかし、憩室が炎症を起こすと「大腸憩室炎」となり、さまざまな症状が現われます。

◆大腸憩室症はもともと欧米人に多く、日本人にはあまりみられませんでした。しかし、最近は日本でも増え、特に都市部での増加が指摘されています。その大きな要因として挙げられているのが食生活の欧米化。食物繊維の摂取が減ったことで便秘の人が増え、排便時に大腸の内圧が上昇して、腸壁の弱い部分に憩室ができるのです。

◆また、加齢によって大腸壁の筋肉層が弱くなることも原因として考えられています。そのため、憩室症は高齢になるほど多くなります。過敏性腸症候群に似た症状(便秘、下痢、軟便、腹部膨満感など)が出ることもあり、その場合は症状に応じて薬物治療を行います。

◆一方の大腸憩室炎は、憩室に便などが詰まったことをきっかけとして起こることがほとんどです。軽症の場合は腹部が少し痛み、下痢や便秘がみられる程度ですが、進行すると強い腹痛に下痢や発熱が重なり、下血がみられることも少なくありません。

◆特に、複数の憩室が同時に炎症を起こしていたり、憩室炎を何度もくり返している場合は要注意。その部分の大腸が狭くなったり、癒着を起こしたりして便の通過障害や腸閉塞につながることがあるからです。

◆さらに、憩室に孔があいて腹膜炎を起こす憩室穿孔(けいしつせんこう)が起きる場合も。ごくまれですが、憩室の動脈が破れて大量出血し、ショック状態に至るケースもあります。

◆大腸憩室症は、大腸の検査を受けた際に10人に1人程度の割合で偶然に見つかることがほとんどです。逆に、症状から大腸憩室炎やその合併症が疑われる場合は、必要に応じて腹部のCT検査や超音波検査、大腸内視鏡検査、注腸造影検査などが行われます。

◆大腸憩室炎は、軽症なら抗菌薬などで対処します。進行した憩室炎は放置すると腹膜炎を起こすことがあるため、入院して絶食、輸液と抗菌薬の投与を行うのが一般的な治療法です。

◆憩室出血のほとんどは自然に治まりますが、出血が多いときや出血をくり返す場合は大腸内視鏡や血管造影による止血を行います。大量出血に加え、腸閉塞や排便障害など、重度の症状がくり返されるケースでは手術が検討されます。特に憩室穿孔は、緊急手術の対象です。

◆日常生活面では「憩室がある」といわれた方でも、特にこれといった制限はありません。日ごろから暴飲暴食を避け、繊維分の多い食事をとるなど、便秘予防に努めましょう。規則正しい食事と排便、過労の回避、十分な睡眠も心がけてください。

(監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子)




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