てんかん 病診連携拡大 聖隷浜松病院と県西部の診療所

浜松市中区の聖隷浜松病院てんかんセンターと県西部の診療所による、全国唯一のてんかん診療地域連携「Epi(エピ)ネット」の取り組みが成果を上げている。専門医が地域の患者を診察し、治療後は身近なかかりつけ医が受け持つことで通院しやすくする試み。患者に社会復帰への安心感を与え、医療機関側の負担軽減にも効果が表れ始めた。

エピネットは2014年末にスタート。診療所に通っていた患者に同センターの専門医が治療を施し、個々の診療所では難しい治療も担う。症状が落ち着き、発作が統制できるようになった患者の診療は地元の小規模医院などに依頼。医院は月1回程度の通院で薬を処方し、経過を診る。発作の有無や処方内容を書き込む「エピパスポート」を患者に交付し、同センターと医院が情報共有する。

同センターの藤本礼尚医師によると、大きな交通事故の発生などを受けて、運転免許証の申請時に提出が求められる診断書の書類作成などで、医師には従来以上に慎重な判断や責任が求められるようになった。発作への救急対応や各種申請書類作成の煩雑さから、小規模医院では患者の受け入れが難しく、診療の連携体制構築が困難な原因にもなっている。

藤本医師らはエピネット導入時に、同センターが各種書類作成業務を担うことで小規模医院の負担軽減を図った。その結果、今年4月末までの約1年半で約200人にエピパスポートを交付した。連携する医療機関は当初の約30施設から約100施設に増加した。同センターの患者が地域に移行したため、同センターの新患受診率は約10%から約30%まで向上したという。

予想以上の効果を喜ぶ藤本医師は「てんかんは適切な治療で治る。連携強化で適切な治療を受ける患者が増えれば、危険な病と捉える社会の偏見は減る」と話し、浜松発の試みが全国へ広がることを期待する。

<メモ> てんかん 

脳神経細胞が過剰に活動して発作が起きる脳神経疾患。けいれんや意識障害などを伴う発作が繰り返し生じることが特徴。発症率は100人に1人で国内患者は100万人に上る。小児期に発症するケースが多く、事故や病気で後天的に発症する例もある。抗てんかん薬で7割が統制可能で、外科手術が適用できる症例も増えた。手術が不可能な場合、発作頻度を下げる迷走神経刺激療法などの治療法が開発されている。




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