私は見た これが朝鮮労働党大会開催中の平壌

北朝鮮の朝鮮労働党大会では、本格的な金正恩(キム・ジョンウン)時代の幕開けをアピールするための議事が続いた。平壌の街中でも、金第1書記をあがめるスローガンが目立ち、偶像化が急ピッチで進められている。核・ミサイルで国際社会を揺さぶった末、かつてない強力な経済制裁を受ける。困難が続くなかでも、住民らは最高指導者への忠誠心を競って示し、生き残りを模索する。

外国メディアが9日に案内されたのは「金正淑(キム・ジョンスク)平壌製糸工場」(平壌市平川区域)。

「偉大な金正恩同志と最後まで意を共にしよう」。工場内には大型の碑が掲げられる。記者が4年前に訪朝した際、金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去して8カ月余りだったため、街中に「金総書記の遺訓を受け継ぐ」との表現が目立った。だが今回、金総書記のスローガンは大幅に減り、金第1書記のものが前面に出てきた印象が強い。

工場内の従業員用学習室では金日成(キム・イルソン)国家主席、金総書記と並んで金第1書記の「お言葉」が掲げられており、金王朝を引き継ぐ正統な指導者としての地位を住民に印象付けている。

金第1書記が指導方針に掲げる「科学技術強国建設」。住民たちはこの方針の浸透を図る。

工場内の託児所には遊び場がある。中には、人工衛星「光明星(クァンミョンソン)3号」の打ち上げに使ったロケット「銀河(ウンハ)3号」(事実上の長距離弾道ミサイル)の模型を中心に飛行機が回る遊具があり、子供が歓声を上げていた。

また今年1月に完成した科学技術学習施設「科学技術殿堂」(平壌市スク島)の建物中心部にも、銀河3号の模型が地上4階まで届く高さでそびえ立っていた。

「誰もが高い科学技術の成果を収めることにより、富強祖国建設に寄与する愛国者にならなければならない」。建物の壁には金第1書記の言葉が掲げられていた。幼少期から科学技術に関心を抱くよう教え込んでいるようだ。「大人になったら科学者になりたい」。施設内で遊んでいたブン・フンイルさん(9)はこう力をこめた。理由を尋ねると「わが国を光り輝かせるために」と返ってきた。あどけない男の子の顔からは想像もつかない答えをした。

記者団が宿泊しているのは「羊角島国際ホテル」。中の売店には、国産ブランドの化粧品がずらりと並び、男性用もあった。クリームが約6ドル(約650円)と安価なものが多いが、最近発売された高級ブランドはセットで約220ドルもする。

外国メディアの案内人を務める北朝鮮当局者は、自国製スマートフォンを持つ。そこには「話す猫」とのソフトが入っている。足を触ると、くすぐったがったり、人の声をまねたりする。

ホテルの喫茶店従業員、李潤実(リ・ユンシル)さん(25)が雑談に応じた。「外国の人は『朝鮮の人は貧しい』と見ている」。こんな話をしたあと、次の言葉をよどみなく語った。

「わが国が制裁を受けていなかった時期はない。ただ、制裁を受ければ受けるほど経済を発展させようという気持ちになる。若い元帥様がいらっしゃれば、わが国はますます発展する」

制裁をものともしない若くて強い指導者。李さんの「模範回答」では金第1書記はこう描かれる。だが、国際社会から圧迫されるなかで、どう経済を発展させるのだろうか。その答えは李さんから聞けなかった。




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