「私の目」受け入れて 盲導犬お断りで「嫌な思い」9割

東京・銀座に、盲導犬を連れた客を国内で初めて受け入れたとされるレストランがある。それから半世紀余り。盲導犬の育成団体が使用者にアンケートしたところ、入店拒否などで九割が嫌な思いをしたことがあると回答した。この多くが受け入れを義務付けた法律の施行後といい、関係者は「もっと理解が広がってほしい」と話している。 

「いらっしゃい」。金曜日の夜、銀座四丁目のインド料理店「ナイルレストラン」。店主のG・M・ナイルさん(71)が笑顔で八方順子さん(61)を迎えた。席には藤山明子さん(38)=仮名=が先着。二人は目が不自由で、盲導犬を連れている。それぞれの勤務先から地下鉄で来た。にぎやかな店内で、盲導犬はテーブルの下に入り、おとなしく伏せの姿勢。二人は名物のカレーを楽しみ会話を弾ませた。

盲導犬を育成するアイメイト協会によると、ナイルが初めて受け入れたのは一九六一年ごろ。五七年に国産初の盲導犬を育成した塩屋賢一さん(故人)がナイルさんの父と知り合い、盲導犬の使用者が来店するようになった。ナイルさんは「米国にいたことがある父は盲導犬を知っていて大歓迎した」と振り返る。

その後、徐々に理解は進んできたが、入店を断られるケースはまだ残る。ここ数年でも、八方さんは弁当店で「犬はだめ」、自治体のプールでも「駐輪場につないで」。すぐに管理部門へ連絡するなど改善を実現させてきた。「自分とみんなのためだから訴えていかないと」との思いがある。

藤山さんは二十六歳の時、自分で危険を避けて歩く白杖(はくじょう)から、目として働く盲導犬に替えた。歩行が楽になり、行動範囲が広がった。だが、入りたい店に「盲導犬です」と説明しても「犬はちょっと」と言われ、「またか」と思うことも。

ナイルさんは「うちもペットの犬は断るけど、盲導犬は目の不自由な人にとって体の一部。断るなんてとんでもない」と残念がる。

◆補助犬法の周知足りず

アイメイト協会が三月に行ったアンケートでは、盲導犬を理由に嫌な思いをした使用者は89%。その場所は飲食店が79%(複数回答、以下同)に上った。76%の人が説明して理解を求めたが、受け入れられたのは69%、受け入れられなかったのは43%。全国の百二人が答えた。

二〇〇三年に完全施行された身体障害者補助犬法では、飲食店など不特定多数が利用する施設は、盲導犬などの同伴を拒んではならないと規定する。だが、法施行後に嫌な思いをしたとの回答が多いという。

日本盲導犬協会も四月、受け入れ拒否の例をまとめた。十一年間で使用者から二百五十七件が寄せられ、飲食店が48%で最多。協会に相談しない人もおり、実態はもっと多いとみている。協会が同法などを説明すると、七割からすぐに理解が得られ、拒否の背景には法の周知不足もある。

四月施行の障害者差別解消法に基づくガイドラインでも、不当な差別的取り扱いの例として、盲導犬などの同伴拒否を挙げている。




http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050802000119.html