高知っ子は給食で元気 県内各地で地場の食材を豊富に

高知県内の学校給食のメニューが変わってきた。地場産品をふんだんに使ったり、手の込んだ料理があったり。その背景には、単に「おいしい」だけでなく、味覚を通して地元を知ってもらおうという思いがあるようだ。子どもたちの元気な体と心をつくる給食が、各地にある。

「しいたけハンバーグ」に「みそクッキー」「大葉ピザ」…。これらは香美市香北町美良布の大宮小学校で出されている給食のメニューだ。給食に使う野菜の半分は地元産で賄っている。

4月下旬、児童の机にマーボー豆腐と春雨サラダが並んだ日。「いただきます」の声と同時に、子どもたちの顔がほころんだ。6年生の萩野海羽(みう)さんは「地元の野菜を使ったのがおいしい。残す人、めったにおらん」と元気いっぱいに話す。

竹村栄夫校長(60)が言う。「私らが子どもの頃は、給食があるだけで良いという時代。こんなにおいしい給食が食べられる。今の子はうらやましい」

大宮小学校のように給食に地元食材を使う動きは髙知県内で広がっている。

土佐郡大川村中切の大川小中学校では4月から、大川村の食材を少しずつ入れている。これまでは長岡郡本山町にある嶺西学校給食センターから約40分かけて給食を運んできていたが、学校の近くの集落活動センターで給食を作り始めたのだ。

この動きを後押ししたのは、「大川村の食材を食べてほしい」という村民の声だった。山中昌範教育長は「黒牛、地鶏など大川のものを子どもが知らないのは良くない。味覚の記憶は大事。給食は地元意識を高める取っかかりになる」と話す。

髙知県栄養士会の津野美保会長(65)によると、「給食が変わってきた」のはここ10年ほどだという。

若者の食習慣の乱れが社会問題化したことなどを背景に、2005年に食育基本法が施行され、授業を通して食生活から児童生徒を支援する「栄養教諭」制度も始まった。

津野さんは「高度経済成長期に『便利さ』が求められ、手間のかかる家庭料理が途絶えてしまいました。今は給食が、子どもが食について考える教材になっているんです」と言う。

4月下旬のよく晴れた日。春野東小学校(高知市春野町東諸木)の給食のメニューはハヤシライスだった。材料のトマトを提供したのは近くの生産者、広瀬良之さん(51)。「煮込み用と聞いたので完熟に近いものを(自分のハウスから)選んだんです」 

春野東小学校では12年前、広瀬さんの長男が入学したのをきっかけに、学校と農家がつながり始めた。いまでは10軒ほどが米や野菜を提供し、JAを通じて毎朝、新鮮な野菜が学校に届けられている。

広瀬さんのトマトをたっぷり使ったハヤシライス。校舎内においしそうな香りが漂う。

給食を作る松佐古千枝さん(55)は「春野の野菜の味を覚えて育ってほしい」。

地元で採れたキュウリのサラダもほぼ全員が完食だった。1年生の中谷陽路(ひろ)さん(6)は「おなかいっぱい。おいしかったー」とにっこり。最後は皆で手を合わせ、教室の外にも届く元気な声で叫んだ。

「ごちそうさまでした!!」




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