電力小売り全面自由化1カ月、新電力への切り替えは一部にとどまり…関電はホッと安堵、各社は「余地あり」と強気

家庭が電気の購入先を自由に選べる電力小売りの全面自由化から1カ月が過ぎた。関西、首都圏を中心に都市ガスや通信会社などの新規参入事業者「新電力」が割安な料金で売り込みを図っている。ただ、既存の大手電力から切り替えた家庭は一部にとどまっており、競争は静かなスタートとなった。

都市ガスの仕組みや新しいガス機器を使った調理などを紹介する大阪ガスの情報発信施設「ハグミュージアム」(大阪市西区)。「これからは電気も大阪ガス」とアピールするポスターが張られ、のぼりが掲げられた。

「まだ電力自由化を知らない人も多いので、来館者向けに説明用のパンフレットも作った」と同施設の松田健一館長は話す。自由化の仕組みから説明し、大ガスの電力販売を知ってもらう狙いだ。

関西電力より5%程度安いプランなどを提案する大ガスは、関西約200カ所の販売代理店を拠点に電力を売り込み、4月26日時点で約12万5千件の契約を獲得した。

大ガスの本荘武宏社長は「お客さんとのつながりを強くしていく」と強調、今年度に20万件の契約獲得を目指す。今月9日からは水回りのトラブル対応に駆けつけるサービスを開始する予定で、夏はエアコン修理にも対応する。

電力広域的運営推進機関によると、4月22日時点で大手電力から新電力への乗り換えは約74万4400件で、全世帯の1・2%。切り替えた世帯のうち約85%は、新電力の多い首都圏と関西だった。沖縄で契約切り替えはなく、北陸、中国、四国はいずれも1千~3千件にとどまる。

電気料金が比較的高く、新電力に有利とされる関電の供給エリアは17万2300件の切り替えがあったが、全世帯の1・7%。しかも大部分を大ガスが占めており、関電内からは「序盤の動きとしては思ったより小さかった」との安堵の声も聞かれる。

関電は契約つなぎ止めのため、水回りや鍵、室内電気設備などのトラブルを対象に駆けつけサービスを充実。八木誠社長は「お客さまの満足の向上、役立つサービスで電気を選んでもらいたい」と力を込める。

関西では、大手電力の東京電力、四国電力が新電力として進出。ソフトバンク、KDDI、関電系の通信会社ケイ・オプティコム(大阪市)などが携帯電話やインターネット回線とのセット販売を展開する。

関電は値下げの切り札である原発再稼働が見通せず、新電力各社は現在の低調ぶりも「まだ販売拡大する余地があるということだ」と強気に解釈する。

首都圏で家庭向け電力販売を始めた東燃ゼネラル石油は、4月18日から販売エリアを関西、中部地域に拡大した。石油元売り大手では西日本初進出となる。

太陽光発電の遠隔監視サービスを提供するNTT西日本の子会社、NTTスマイルエナジー(同)は5月中旬から利用者向けに電力販売を始める。

各社が安さと独自のサービスを打ち出す中、電力中央研究所の丸山真弘上席研究員は「今後も伸ばすためには各社の効果的な販促が必要」と指摘する。




http://www.sankei.com/west/news/160504/wst1605040064-n1.html