保育士・介護士 賃上げしても埋まらぬ格差 厚労省調査

低賃金が社会問題化している保育士と介護士は、厚生労働省による各職種の月収調査でも下位に低迷している。低賃金に過酷な労働条件が加わって離職率が高く、人手不足が待機児童問題や介護サービスの低下の一因になっている。政府が表明した保育士・介護士の賃上げが実現しても、他の職種との賃金格差はほとんど埋まらず、抜本的な待遇改善にはつながらない見通しだ。 

厚労省は、各職種の賃金実態に関する「賃金構造基本統計調査」を毎年実施。百二十九職種を対象に勤続年数などに応じた賃金を公表している。

今年二月発表の二〇一五年調査に基づいて順位を付けると、残業代などを含めた平均月収は保育士が二十一万九千二百円で、下から十番目の百二十位。介護士は二十二万三千五百円で百十七位だった。全職種の平均月収は三十三万三千三百円で、保育士と介護士はともに約十一万円下回る。

こうした実態を踏まえ、三月に当時の民主、維新と共産、社民、生活の野党五党は、保育士らの処遇改善に関する法案を衆院に共同提出した。計約四十七万人の保育士や幼稚園教諭らの月給を一人当たり平均五万円引き上げる内容で、約二千八百四十億円の財源が必要となる。

介護職や介護施設の事務員らの賃金を一人当たり月一万~六千円増やすための法案も同じ野党五党が三月に共同提出したが、衆院厚労委員会で与党の反対で否決された。

一方、政府は今月中にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に保育士・介護士の待遇改善策を盛り込む方針だ。安倍晋三首相は四月末、保育士について「新たに2%の処遇改善を行う」と人事院勧告分を含めて約一万円引き上げる方針を表明した。介護士に関しても同程度の賃上げを行う考えを明らかにした。

ただ、方針通りに賃上げが実現しても、厚労省調査での給与水準はいずれも百十位台にとどまる。

白梅学園大の近藤幹生教授(保育学)は「国の財政支援が不十分というのは、保育士・介護士に共通している」と指摘。「法人税減税の見直しや無駄な予算の洗い出しなどを行い、全額社会保障費に回す名目の消費税増税とは切り離して財源を探すべきだ」と話す。




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