燃え尽きないために−−心の休養も必要、外に出て気分転換を

認知症の80歳の夫を15年介護してきました。10歳年が離れているので、なんとか続けてきましたが、夫の状態も以前に比べると、徘徊(はいかい)や昼夜逆転、放尿もなくなり、1日1〜2回散歩に付きそい、オムツ交換や入浴介助はあるものの、かなり介護負担は軽くなりましたが、逆に自分の体力がなくなって、腰痛や膝関節痛、倦怠(けんたい)感があります。デイサービスを週3回利用しています。子どもには負担をかけたくないのですが、いつまで続くのかと考えるだけで気が重くなってしまいます。夫の介護に明け暮れ、近所や親戚、友人たちとのお付き合いもなく、人との会話も少なくなっている毎日です。=東京都、妻(70)

【回答】心の休養も必要、外に出て気分転換を

15年も介護を続けてこられてきた原動力は何だったのでしょうか。たぶん夫婦愛があったから頑張ってこられたのでしょうね。そのことはとてもすばらしいことですが、あなたの体や心は、疲労がたまりにたまって悲鳴を上げているのではないでしょうか。徘徊や昼夜逆転が激しかったときは、なんとかしなければと使命感に燃えていて、工夫して乗り切ってこられたのだと思います。

介護はストレスの温床とも言われています。腰痛や膝関節痛、倦怠感があるのも警告かもしれません。ここで少し今までの生活を振り返って、今後について考えてはいかがでしょうか。まず、介護者であるあなたが楽になることを考えましょう。これ以上疲れがたまらないように、自分の体を休めるために、デイサービスはこのまま継続、あるいは回数を増やす、ショートステイを利用するなど、他者の援助を活用しましょう。

心の休養や活性化も必要ですので、趣味活動やスポーツクラブなどに参加、音楽会や観劇など自分にあったものを探し、日常との変化をもたせることもよいと思います。家の中でごろごろするよりも、外に出ていつもと違う雰囲気に浸ることを少ししてみてはいかがでしょうか。自分に笑顔が戻ることが大切なのです。

ご主人だって、妻の笑顔が何よりの心の安定になると思います。夫に接していて笑顔で対応できなくなることは、疲れのサインだと思った方がよいでしょう。疲れたら休むではなく、疲れる前に休みや気分転換ができるようにしたいものですが、現実にはなかなか無理な場合も多いので、定期的に日常との変化が持てるように意識して外に出ましょう。

日常の介護も、自分だけではなく、時には子どもさんたちにも愚痴をいったり、ケアマネジャーに相談したりしてください。自分から「こんなことで困っている、悩んでいる」と口に出して言ってみましょう。言わないと伝わりませんし、言うことで解決の糸口が見えてきます。自分だけで頑張って介護をしていると、知らず知らずに、疲れも感じないばかりか、判断力や感情も摩耗してしまいます。気づいたときにはもぬけの殻のようになってしまいます。自分が楽になる方法を見つけることが一番大切なことです。

回答者 

是枝祥子(これえだ・さちこ)大妻女子大学名誉教授=介護福祉学




http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160415/med/00m/010/020000c