被災地職員、疲弊の連鎖 うつ病など休職増加 自治体応援も減少

東日本大震災の被災自治体へ派遣される全国の応援職員数が減り始めた。震災から5年を迎えてなお、先の長い復興への道。疲労を積み重ねて被災地の地元職員は心や体を病み、派遣元の自治体も支援継続が難しい事情を抱える。マンパワーが追いつかず、疲弊が疲弊を呼ぶ悪循環に陥りつつある。

福島第1原発事故で、町民約1万9千人の避難が続く福島県浪江町。「前例のないことの連続で、すべて手探り。疲れが取れることはない」。同県二本松市の仮庁舎で、休日出勤の合間を縫って取材に応じた30代の男性職員は嘆いた。現在の正職員約150人は震災前より15%減。臨時職員や全国からの応援職員の手を借りて何とか補っている。

正職員不足は、町が人口の大幅減を見据えて採用を抑えているためだ。来春、放射線量が低い地域の避難解除を目指しているが、昨秋の調査でいずれ町に戻ることを希望する人は17%にとどまった。町民の多くは放射線への不安などから避難先で新たな生活基盤を築きつつある。今後、国が復興予算を減らしたり、人口減に伴い地方交付税が削られたりすれば、人件費が町財政の「重荷」となるのを避けたい懐事情がある。

帰町準備のほか、県内外に散らばる避難者の生活支援などの仕事も負担が大きい。「やるべきことが多すぎて、どうしたらいいか分からない」と、男性職員は打ち明けた。

被災3県の自治体では、うつ病などでの休職が増えている。岩手は震災前の2009年度の16人から12年度は24人に。宮城は10年度の146人から14年度216人に増えた(病気休暇取得者も含む)。福島は現状を把握していないという。

■予算は10倍超

津波で市庁舎が流され、正職員298人のうち68人が死亡した岩手県陸前高田市。現在の職員数は、任期付き職員25人と県内外からの派遣職員88人を合わせ380人にまで増えたが、必要数にまだ8人足りない。

未曽有の規模の復興事業が続き、業務量は膨れ上がっているからだ。同市の15年度予算は1195億円、震災前の10倍超にもなる。

昨春から派遣されている福岡市職員の浜田真寿さん(40)は津波被害を受けた土地をかさ上げし、区画を割り直す換地業務に携わる。平日は朝から深夜まで図面と向き合う。全国に散らばる地権者への聞き取りのため、土日出張も多く、代休を取る暇もない。換地業務の経験が長い職員は、浜田さんを含め2人だけという。

通常は15~20年を要する大規模事業を、市は18年度までに終える方針。浜田さんの残る任期は1年。「厳しいスケジュールだが、全力を尽くしたい」と気を引き締める。

■リレー方式も

派遣を打ち切る自治体側にも事情がある。「苦渋の決断。本市の業務に穴をあけるわけにはいかない」。福岡県直方市は、13年度から宮城県東松島市に土木技師1人を派遣してきたが、昨春からやめた。直方市でも景気対策事業が増えたことに加え、技師の定年退職などが重なったためだ。16年度も派遣できないという。

宮崎県町村会は職員派遣を続けるため、17町村のうち2自治体が1人ずつ半年間の短期派遣を繰り返す「リレー方式」をとる。12年度から宮城県南三陸町と岩手県大槌町に派遣を始め、現在は日之影町と新富町が職員を派遣中。町村会の担当者は「小規模自治体は1人派遣するだけでも大変。協力し合いながら、息の長い支援をしたい」と力を込める。




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