貧困高齢者が160万人増 最近5年間試算

生活保護費の受給水準以下で暮らす高齢者が、最近五年間で少なくとも約百六十万人増えた可能性があることが、立命館大産業社会学部の唐鎌(からかま)直義教授(社会福祉学)の調査で分かった。公的年金の支給額引き下げなどが負担となり、生活に困窮する高齢者が増加した実態を示している。

唐鎌教授は、厚生労働省が子どもの貧困率などの算出に使う「国民生活基礎調査」の最新データ(二〇一四年調査分)を分析。国の生活保護基準を参考に住居費などを計算し、最低限の生活に必要な年収を一人当たり百六十万円(月約十三万三千円)に設定した上で、この額に満たない高齢者世帯を貧困状態とみなして人口を試算した。

その結果、高齢者全体の四分の一を占める八百九十三万五千人が該当し、〇九年の調査データで試算した七百三十五万四千人を百五十八万千人上回った。独り暮らし世帯に限ると男性が二十九万千人、女性は三十九万千人増加。単身の高齢者と結婚していない子どもが同居している世帯では十三万五千人増えていた。

家族のうち高齢者が一人でもいる世帯で年収が設定額を下回ったのは、全体の27・4%に当たる六百四十四万七千世帯。独り暮らしの世帯の中で設定を下回ったのは、男性が七十二万世帯(37・7%)、女性は二百二十六万七千世帯(56・0%)に上った。

厚労省は国全体の相対的貧困率や子どもの貧困率を三年ごとに公表しているが、高齢者については「収入が少なくても貯金などがあるケースがあり、実態と合わない可能性がある」(統計情報部世帯統計室)として算定していない。相対的貧困率は手取り収入を高い人から順に並べ、真ん中の人の所得額の半額(貧困線)未満で暮らす人の割合を示す。厚労省が一二年調査で設定した貧困線は百二十二万円で、国全体の貧困率は16・1%だった。

唐鎌教授は試算結果について「高齢者人口が増えた分、貧困に陥る人数も猛烈に増えている。(一三年からの)年金支給額の引き下げや消費税増税も影響し、生活はさらに厳しくなっている」と指摘した。詳しい結果は十二日発売の専門誌「地域ケアリング」(北隆館刊)に掲載される。




http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016030302000074.html