中国の国産小型旅客機ARJ21 日本のMRJと競合か

中国が航空機の製造に力を入れている。昨年十一月に国有企業が小型ジェット旅客機「ARJ21」を初めて国内の航空会社に納入。中型機「C919」の開発も進めている。ARJ21は、やはり昨年秋に試験飛行に成功した日本国産初のジェット旅客機、MRJ(三菱リージョナルジェット)とほぼ同規模の小型機。日米欧のメーカーが繰り広げる開発競争に割って入れるかが注目される。 

■対抗心隠さず

航空会社「成都航空」への機体納入のため、中国・成都の上空にARJ21が初めて姿を見せたのは昨年十一月二十九日。日本のMRJの初飛行から、わずか十八日後のタイミングだった。「中国側のMRJへの対抗心の表れ」。関係者はそう受け止めた。

「ARJ21は中国の民間航空機産業の先陣を切って登場した。わが国は重大な課題を克服した」。当日の新華社電はその開発力を高く評価。初飛行に携わった開発担当者も「すべての技術的課題を突破した。米国航空産業との差も縮まっている」と胸を張った。

「ARJ」は英語の「アドバンス・リージョナルジェット」の略称で、「進歩的な近距離ジェット機」の意味合い。座席数は最大九十、開発したのは政府が出資し設立した「中国商用飛機」だ。成都航空は今年末までに五機を受け取り、上海、南京、深セン、西安、貴陽、北京、武漢と成都を結ぶ国内線に投入する。

■海外も視野

小型旅客機の製造は、これまでカナダのボンバルディア社やブラジルのエンブラエル社が得意とした。だが中国のARJ21が最も意識するのは、日本の三菱航空機(愛知県豊山町)が開発したMRJだ。

MRJの座席数はARJ21と同じ最大九十、燃費性能はライバル社の従来機を二割程度上回る。昨年十一月の初飛行に成功したが、主翼部分の強度不足が判明。一七年四~六月に予定した初納入を一八年半ばに延期した。

中国の週刊誌「瞭望東方」はARJ21の特集記事の中でMRJも紹介。「大都市間を結ぶ航空機市場の奪い合いは激烈だ」と指摘した。中国商用飛機の趙越譲副社長は「ARJ21の飛行は市場の変化を意味する。戦いは今、始まったばかりだ」と強調。海外への販路拡大にも意欲を示した。

■基準に合わず

こうした中、米通商代表部(USTR)は昨年末に「輸入する中・小型航空機に課す付加価値税(税率17%)を国産機に対しては免除しているのは不当だ」とし、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴した。米ボーイング社などは中国での航空機販売に力を入れているが、提訴には、将来の世界販売で競合相手となり得る中国をけん制する意味もあるとみられている。

ARJ21は世界の航空機市場に攻勢をかけられるのか。航空評論家の青木謙知氏は「米航空当局が示す構造などの基準に合致しておらず、米国内はもちろん、米国と他国を結ぶ航路の飛行許可は下りない可能性が高い」とみる。

青木氏によると、中国当局の基準を採用しているのはインドネシア、ベトナム、ラオス、ネパールなど。青木氏は「中国政府は国内や中国基準を採用する国で納入を図る」と予想。「MRJとの競合は限定的」との見方を示す。

<小型ジェット機市場> 

燃費性能が向上し、今後20年で5000機以上の新規需要が見込めるとされる。世界で運航中の機体は14年末で約3500機。シェアはエンブラエルが47%、ボンバルディアが37%と他社を圧倒する。11年初就航のスホイ(ロシア)のシェアは1%強。




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