相談220件以上あったのに… 大田区の「民泊」申請まだ1社

外国人観光客の急増による宿泊施設不足を解消しようと、東京都大田区がスタートさせた「民泊」の事業者申請が十日現在、一社にとどまっている。事業者にとっては、申請手続きが煩雑なほか、早ければ四月にも解禁となる国の民泊制度の方が使いやすいとの見通しがあるようだ。 

区によると、一月二十九日の民泊条例施行以降、事業者らから二百二十件以上の相談があった。しかし、実際に申請したのは、インターネット宿泊仲介サービス運営「とまれる」(千代田区)一社の物件二件にとどまっている。

理由の一つとみられるのが申請の煩雑さ。区は必要な手続きをガイドラインで定め、民泊を行う物件の防火設備の有無などを消防署へ確認したり、近隣住民に文書で周知したりすることなどを義務付けた。しかし、ガイドラインの説明会は施行の二日前で、区の担当者は「現実的にすぐには申請できない」と、出足への影響を認める。

また、国の民泊制度を見極めようという事業者の思惑もある。国は二〇二〇年東京五輪に向け、民泊を旅館業法の「簡易宿所」に位置付けた上で、基準を緩和する方向で検討中だ。区が民泊の条件として「滞在期間は七日以上」「居室面積は二十五平方メートル以上」などと定めたのに対し、国は滞在期間を設けず、居室面積もより狭くても認める方向で議論が進んでいる。

事業者にとって、条件は緩い方が参入しやすい。ある不動産業者(港区)は「国の動きもある中、大田区の認定を受けるメリットを見極めたい」と様子見を決め込む。

国の民泊は、基準緩和などをめぐる有識者らの議論に時間がかかり、先行する大田区の民泊にそれなりの需要があると、区はみていた。

しかし、四月にも全国で解禁の見通しとなったことで、区からは「想像以上に早い」との声も。担当者は「区には今後、準備の整った事業者から申請が出てくるのではないか。これからが本番」と話している。




http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021202000122.html