貧困ビジネス、生活保護費を回収 支援者「監視され、事実上の強制」

無料低額宿泊所の入居者が生活保護費の大半を搾取されている「貧困ビジネス」。生活保護費が支給された今月5日、さいたま市岩槻区役所の目の前で、宿泊所の関係者が入居者から生活保護費を回収していた。

生活困窮者を支援する団体によると、このような行動は支給日に恒常的に行われているという。入居者は「仕方ない」と話すが、支援団体は「事実上強制的に回収されている」と指摘している。

5日午前8時半ごろから、岩槻区役所の前には、施設のマイクロバスやワゴン車複数台が次々到着した。

複数の施設関係者が名前の書かれたリストを元に、バスから降りてきた入居者を確認。施設ごとに色分けされたリボンを胸に付けた入居者は順次、4階の窓口へ向かった。入居者は全て男性で、中には歩行が困難な高齢者もいた。

4階に向かう途中の各階にも関係者とみられる人の姿があり、入居者は常に関係者の目が届く状況に見えた。

岩槻区役所の外にある共有スペースには、7~8人の施設関係者が待機。入居者は手渡された封筒の中身を確認することなく、そのまま関係者に手渡していた。

共有スペースには区役所職員もいたが、関係者は堂々と約2時間にわたり、受け取った生活保護費を紙袋に入れる作業を繰り返した。入居者の多くが関係者の目を気にし、「何も答えられない」とこぼしていた。

封筒を受け取った入居者をチェックリストで確認していた施設関係者の女性は、生活保護費を回収している現状について、「入ったばかりなので詳しいことは分からない」と繰り返した。

入居する50代男性は「住所も仕事もなく、生活保護を申請しても自力では通らなかった。今日の飯をどうするかと考えたときに、ここに入るしかなかった」。

けがをして働けなくなったという男性も「生活保護費の回収は悔しいが、仕方がない。早くここから出たいが、手元に残る数万円ではまた困窮してしまう」と力なく答えた。

さいたま市生活福祉課の担当者は「生活保護費の回収は問題視している。改善されるよう、対応を図っていきたい」としている。

生活困窮者を支援している反貧困ネットワーク埼玉の広瀬隆事務局長は「施設関係者に監視される中、事実上強制的に保護費が回収されている。入居者の多様な選択肢が認められるべき」と指摘した。

同ネットワークは随時、入居者からの相談を受け付けている。問い合わせは、反貧困ネットワーク埼玉(070・6653・4104)へ。




http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/02/12/10.html