在宅重視 受け皿不安 かかりつけ医 人材足りず

中央社会保険医療協議会(中医協)は十日、医療サービスの公定価格(診療報酬)の改定内容を塩崎恭久厚生労働相に答申した。四月から導入する。人口減少に対応するため、医療機関の役割分担を進めて医療費を抑える。一方、増える高齢者を支えるため、医療と介護の連携を強め、かかりつけの医師や薬剤師に報酬を増やし、在宅医療を充実させる。ただ、在宅医療を支えるかかりつけ医の数や質は十分とはいえない。 

病院は、入院治療では重症者向け病床やリハビリ病床など役割分担を進める。外来治療では、診療所などの紹介状を持たずに大病院を受診すると初診料とは別に五千円以上、再診時で二千五百円以上の定額負担を求める。軽症患者を地域の医療機関に振り分ける。

同時に、かかりつけ医の役割を広げる。認知症患者や小児、訪問診療を専門に行う診療の報酬を新設。薬の重複処方や過剰な服用を防ぐなど患者の服薬管理をするかかりつけの薬剤師・薬局の報酬も新設した。

だが、こうした仕組みの受け皿となるかかりつけ医の存在は心もとない。地域の医師が担う在宅医療は、高齢者のみとりや二十四時間対応など手間がかかり、積極的に取り組む医師はなかなか増えない。今回の改定で報酬を増やすが、在宅医療に取り組む医師が増える保証はない。

かかりつけ医の定義はあいまいだが、患者の日常生活や地域の医療事情を熟知し、幅広い疾患を診察できる技量が求められる。患者に専門医を紹介したり、地域の医療機関や介護サービスとの連携も期待される。こうした力量のある医師は不足している。

日本医師会はかかりつけ医を増やす研修に取り組む。厚労省も二〇一七年度に専門医として「総合診療医」の育成を始めるが、育成には三年かかる。国がお墨付きを与える「かかりつけ医」が誕生するのは二〇年度だ。

診療報酬は税金と保険料、患者の自己負担で賄われる。原則二年に一回改定され、今回は全体で一五年度比0・84%減。診療報酬のうち医師や薬剤師の技術料である「本体部分」は0・49%増、「薬価部分」は1・33%減。医師・薬剤師に支払う技術料は上がるが、薬代は下がる。

◆厚労省、3分野を例示

厚労省は診療報酬の改定後に思い描く医療サービスのあり方や患者の自己負担の事例を「外来」「入院」「在宅」の3分野に分けて示した。事例には入院から在宅医療に重心を移す姿勢が反映されている。

高齢者が多い「外来」では、認知症に対応する医師や服薬管理に取り組むかかりつけ薬剤師の重要性を強調した。

「入院」の例としては、大けがを負った高齢者や急病に襲われた中年を紹介。早期退院に向け努力する医療機関の姿も描いている。

「在宅」では、治る見込みが薄い患者への緩和ケアや、慢性疾患でも在宅を続けているケースを示した。

いずれもさまざまな前提条件を積み重ねており、医療機関や人材がそろわなかったり、患者の症状によっては例示した治療を受けられなかったり負担増になる可能性もある。




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