待機児童増で首相答弁「働く女性増えたから」

待機児童が増えている理由について、安倍晋三首相が「女性の就業者が増えたからだ」とした発言が議論を呼んでいる。民主党の山尾志桜里衆院議員が国会で「保育園に子どもを預けているママの年齢層はほとんど増減がない」と、政府の分析の正確性に疑問を投げ掛けた。 

首相は昨年十一月に行った民間主催の講演で「待機児童は前年より増えてしまった。政権発足以来、女性の就業者が(全体で)九十万人以上増えたから無理もない。その意味でうれしい悲鳴ではあるが、待機児童ゼロは必ず成し遂げなければならない」と述べた。

山尾氏は一月十三日、衆院予算委員会の質疑で、二十五~四十四歳の女性就業者数の年平均では、二〇一〇~一五年にかけては約千百四十一万~千百二十九万人の間で推移し「ほぼ横ばいだ」と指摘した。

首相は即答を避けたが、政府は一月二十六日に閣議決定した山尾氏の質問主意書への答弁書で「首相が就任した一二年十月から十二月の女性の就業者数の平均と、一四年十月から十二月の平均を比べた」と説明。それによると全体で約九十一万人、二十五~四十四歳では約二十万人増えた。

厚生労働省の担当者は首相が言及した三カ月間の平均を比べた理由について、新年度の保育所入所申し込みの期間に当たり、この期間の就業者数が翌年四月時点の待機児童数に関連するからと説明した。

山尾氏側は「女性の就業者を数える時期など、首相自身に都合のいい数字を使って説明している印象だ。内容に不備がある可能性があり、精査したい」としている。

首相が説明するように、働く女性が増えれば、保育所に子どもを預けて働きたいと考える女性も増え、待機児童が増える可能性がある。一五年四月から子ども・子育て支援新制度が始まり、保育の受け皿が増えたことも待機児童の増加につながったかもしれない。

だが、一四年まで女性の就業者数は増えているのに対し、待機児童数は減っている。その間、保育所整備が進んだとはいえ、政府の説明には疑問が残る。

首相が待機児童増を「うれしい悲鳴」と表現したことについて、山尾氏は国会で「(子育て世代女性の)八割は働かないと暮らしていけない。心の底からの悲鳴だ」と批判した。「保育園を考える親の会」の普光院(ふこういん)亜紀代表は「首相は保育士の待遇改善などにこそ力を入れてほしい」と注文した。




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