格安「訳あり品」の問われぬ仕入れ先 廃棄食品流通、業界体質が原因

愛知県の産業廃棄物処理業者「ダイコー」が絡んだ食品の横流し事件で、大手企業が適切に廃棄したはずの食品が不透明なルートで再び店頭に並んでいたことが表面化、消費者の信頼は裏切られた。格安で出回る「訳あり品」の流通経路を十分確認しようとしない業界の体質が、不正の温床として指摘される。他の業者でも同様のケースがないか国が実態把握に乗りだしており、今後、問題の拡大も懸念される。

■ ダイコー以外も調査へ

「何だ、これは…」

1月中旬、塗装のはげ落ちた看板が掛かる建物に足を踏み入れた岐阜県の職員は、倉庫のドアを開いて言葉を失った。

ダイコーから食品を仕入れていた岐阜県の「みのりフーズ」への立ち入り調査。マグロ、空揚げ、アイスクリーム…。さまざまな食品の段ボール箱が積まれ、大手食品メーカーのロゴが付いているものも。「ほとんどはダイコーから買った」。実質経営者の男性は、報道陣にそう話した。

岐阜県によると、みのりフーズで見つかった食品は108品目。賞味期限切れのものが多かったという。愛知、岐阜県警の合同捜査本部は、廃棄食品の横流しが繰り返されていた可能性があるとみて詳しく調べている。

ダイコー以外に同様のケースはないのか、国も調査を始めた。

「他の業者でも(不正転売の)可能性がないか調べ、指導を徹底する」。丸川珠代環境相は22日の記者会見でこう強調した。環境省は食品廃棄物を扱う全国の産廃業者への立ち入り検査を自治体に指示し、今月末までの報告を求めている。

■ 「3分の1ルール」

食品業界には「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣がある。製造日から賞味期限までの期間を3つに分け、「納入」は最初の3分の1の期間内、「販売」は全体の3分の2の期間内とし、これを超過したものは「余剰在庫」として扱われる。加工食品などの一部に適用されているという。

「余ったものは格安市場へ流れたり、廃棄されたりする」と専門家は指摘。

今回の廃棄食品の流通に関わった複数の業者が「大手の余剰在庫が出回ることはよくある。普通、仕入れ先は聞かない」「相場より安いので仕入れたが、問題がある品とは思わなかった」などと説明しており、「訳あり品」の流通履歴をきちんと把握しようとしない姿勢も、不正の温床になったといえる。

■ 「食品ロス」も一因に

3分の1ルールのほかにも、店頭での品切れを回避するための大量供給や、パッケージの印字ミスなどが理由のメーカーへの返品といった商習慣は、本来は食べられる食品が大量に廃棄される「食品ロス」の要因になっている。

環境省によると、2012年度に食品関連事業者から排出された廃棄物のうち規格外や返品、売れ残り、食べ残しといった食品ロスの量は331万トンに上ると推計される。

流通経済研究所の加藤弘貴専務理事は「今回のケースは明らかな契約違反で、事業者のコンプライアンスの問題だ」と指摘。一方、食品ロスの背景について「日本の消費者は他国に比べて鮮度への意識が強く、製造・流通側もそれに応えようとする」と解説した。




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