終活カウンセラーが指摘 「家族の葬儀」に3つのポイント

年末年始に帰省した際に、父母の老いを実感した人は多いだろう。人生の終わりはいつ訪れるかわからないし、年長者から順番とも限らない。事故や病気で、もし妻との別れがきたら……。「家族が死ぬまでにするべきこと」の著者で終活カウンセラーの斉藤弘子さんに聞いた。

「(ご主人は)とても厳しい状況です。この薬が効かなければ、治療の手だてはありません」

斉藤さんは2014年10月中旬、夫の主治医からそう告げられた。夫は10月1日に肺炎治療の経過観察で外来で診察を受けたが、その場で入院。それからわずか2週間後のこと。入院するほんの数日前まで普通に散歩をするほど元気だったので、まったく想像もしていないことだった。

幸いなことに最後の薬が効いた。しかし、体重が激減し、完治することはなく、入院から半年後の2015年4月8日、息を引き取った。

自身の経験も含め、「医療の問題とは別に、ぜひ押さえておくべき」と斉藤さんが強調するのは次の3点だ。

(1)「できること」の情報を押さえておく

夫の人生の最終段階を告げられた時、まず頭をよぎったのが「夫らしい葬儀にしたい」ということだった。

「5年前に母をみとった時、葬儀会社の言われるがままで、母らしい葬儀ができなかったという後悔が残りました。今回は絶対にそういう思いはしたくなかったのです」

病院では「患者」のうちは丁寧な扱いをしてくれるが、死を境にすぐに遺体を搬送することが求められる。それもあって、選択の余地なく病院に出入りする業者に頼み、ドタバタした葬儀になる人がほとんどだ。

「葬儀社を事前に決めていれば、その手配で斎場や葬儀社の安置所を確保できます。もちろん自宅安置も可能ですし、それが難しければ遺体専用ホテルがあります。また、遺体の搬送だけを請け負う業者もありますよ」

すぐに葬儀をしなくても問題ない。「エンバーミング」という技法で、遺体は2週間の保全ができる。斉藤さんは、葬儀社の提案で、夫が好きだった軽井沢へ、亡き夫とともに“最期の日帰り旅行”を果たせた。葬儀では夫と出会うきっかけになったワインで口を湿らせ、お別れをしたという。

(2)お金の問題をクリアにしておく

死ぬと、その人名義の銀行口座は即座に凍結される。また、死んだ人に借金があったり連帯保証人になっていた場合、残された家族は3カ月以内に相続放棄をすると借金も放棄できるが、それを越えると難しくなる。知らないうちに妻がだれかの連帯保証人になっていて、期限が切れた後に借り主が倒産するなどし、借金の返済を請求する内容証明が送られてくる――ということもある。

「お金があるなしに関係なく、死後、お金の問題はいろいろと絡んできます。とにかく、それをクリアにしておくべき。規定の書き方にのっとっていれば、自筆の遺言状でも効力を発揮する。今から作成しておくことを勧めます」

自分が死んだ時、家族を路頭に迷わせないためにも押さえておきたい。

(3)悲しみは消えないが、悲しみの質は変わることを知る

特に男性は妻の死の悲しみからなかなか立ち上がれない人が多い。しかし、悲しみの質は変わることを知っているだけでもずいぶん違う。

「私の場合は、ともに暮らし語り合うという存在を失って慟哭する悲しみから、姿が見えず声が聞こえなくても“大切な人との絆はしっかり結ばれている”という大切な思い出へと変わっていきました。人はだれでも死ぬ。体が元気なうちから、どう最期を迎えたいか、どう生きたいかを話し合っておくことが重要です」




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