あまりのマナーの悪さに中国観光局がブラックリスト公表 「見せしめ」作戦は奏功するか

海外を訪れる中国人観光客は2015年、日本で「爆買い」を流行語にするなど、衰えぬ勢いを見せつけたが、以前から指摘されてきたマナーの悪さでも話題を振りまいた。中国のイメージに与える負の影響は無視できず、中国国家観光局はこのほど、旅先で著しくマナーを欠く問題行動を起こした中国人を“ブラックリスト”に掲載。ホームページ上で実名を公表した。一部を「見せしめ」にして、全体のマナー向上につなげる狙いのようだ。

中国国家観光局は2015年12月16日、「観光客の非文明的行為の記録」(ブラックリスト)に計5人を掲載した。同局のホームページで掲載されているブラックリストには、氏名と戸籍地、問題行動の概要が記されており、必要に応じて警察、税関当局などに情報提供されるという。

5人のうちの1人は、15年9月26日、札幌市内のコンビニで、男性店員にけがをさせた上海の男。この男は、会計前にアイスクリームを食べ始めた妻が店員に注意されたことに逆上、店員の顔を殴り、北海道警に傷害容疑で現行犯逮捕された。

同時掲載となったのは、10月にカンボジアからの帰国途中、飛行機内で、座席のリクライニングをめぐってトラブルになり、機長の判断で飛行機から降ろされた四川省の男女3人。そして、8月に国内の観光地で、子供の入場料の支払いをめぐってガイドともめた末、コップを投げつけ、頭にけがを負わせた湖南省の男だった。

海外を訪れる中国人は2014年、初めて1億人を突破。だが、それに伴い、旅先でみだりにゴミを捨てたり、用便したり、景勝地の物品を壊したりといった中国人観光客の「非文明的」な振る舞いが注目され、それが中国人と中国のイメージにとって重大な「試練」となっている(12月21日、「光明日報」電子版)。

こうした中、中国政府は15年4月、問題を起こした旅行客の氏名を公表する制度を導入。“不良”観光客としてブラックリストに掲載されたのは、今回の5人を含め、計16人に上る。

ブラックリストへの掲載期間は、問題行動の程度に応じて決まり、札幌で逮捕された男の場合は、3年間。16人のうちの最長は、写真を撮るために、人民解放軍の前身の紅軍の像によじ登った陝西省の男で、掲載期間は10年間だ。

実名をさらし、「見せしめ」にする措置には、プライバシー保護の観点で問題もありそうだが、中国のネット上ではほとんど批判が見られない。

むしろ、「どうして掲載を終身制にしないのか。素養のない人間は国外にほうり出せ」「ブラックリスト制度はいい。こうした素養のない人間が外で恥をさらさないように規制すべきだ」など、当局の対応を支持する書き込みが目立つ。

観光客の問題行動で中国のイメージが損なわれていることに、多くの人が危機意識を持っていることの表れともいえそうだ。

「非文明的な行為を生み出している要因は、観光客個人だけでなく、社会体制や文化教育、社会伝統などにもある」

中国政府のシンクタンク、中国社会科学院の研究者は「光明日報」の取材に対し、こう指摘する。一朝一夕にはいかないだろうが、観光当局の継続的な取り組みを通じ、マナーの良い中国人観光客が増えるのを期待したい。




http://www.sankei.com/premium/news/160101/prm1601010028-n1.html