浜松の町工場 宇宙ビジネス挑む  

従業員三十人の町工場、原田精機(浜松市北区)が、宇宙から撮った地上の映像を光で送る技術の開発を進めている。二〇一七年に宇宙から送信試験をし、世界初となる実用化を目指す。将来的には山林や漁場の観測、災害対策、渋滞の把握など、企業や自治体が宇宙からの動画を広く使える仕組みづくりを目指していて、JAXA(宇宙航空研究開発機構)も、町工場発の新しい宇宙ビジネスに期待を寄せている。

開発している技術は「光ダウンリンク」といい、地上を撮影した人工衛星がデータを光で地球に送り、パラボラアンテナで受け取る。光の速さで大容量の情報を送ることができるため、車の大きさや人影が識別できる画質の映像の即時受信が可能になる。アンテナは、地球上空の軌道を動く衛星を自動で追い掛ける。

宇宙から地上への情報送信は現在、電波が主流で、政府や大手通信会社など一部の利用にとどまっている。光を使った送受信は世界的にまだ実用化しておらず、JAXA事業推進部は「今後、世界で活用が進んでいく技術。興味深いシステムで実用化を期待したい」とコメントする。

原田精機は、自動車などの部品を精密に削る技術が強く、JAXAや大手電機メーカーの人工衛星部品も手掛ける。一三年には地上を望遠レンズで撮影して光でデータを送る観測装置を光産業創成大学院大(浜松市)と共同開発している。

今後、まず一七年をめどに受信アンテナを実用化させて、二〇年までに観測装置を載せた五十センチ四方の小型衛星も独自で開発する計画。受信アンテナは一体一千万円、小型衛星は一億円での販売が目標で、より広い業種の企業に宇宙からの映像を活用するチャンスを提供したい考えだ。

原田浩利社長は「宇宙は縁遠い存在でなく、身近と思えるようなインフラ(情報基盤)をつくっていきたい。多くの企業に宇宙空間の活用法を考えてもらい、それぞれのビジネスにつなげてほしい」と話す。




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