廃炉のごみ、行き場なく 玄海1号機が廃炉計画申請

九州電力は22日、玄海原子力発電所(佐賀県東松浦郡玄海町)の1号機について、廃炉計画を国に申請した。来年度から解体を始める計画だが、放射性廃棄物の行き場はなく、一部では国の基準すら決まっていない。先行する原発では隣接地に埋める予定で、今後は「廃炉のごみ」の問題と直面することになる。

玄海1号機の解体で出る廃棄物は、約20万2030トンと試算されている。廃棄物は放射能汚染レベル別に5段階に分類され、このうち発電機やタービンなど全体の98・56%(約19万9120トン)は、一般の廃棄物と同じ扱いで処分される。

最も汚染レベルが高い「L1」に分類されるのは、制御棒など原子炉内にある構造物で、全体の0・05%(約100トン)。国は地下深くに埋める「余裕深度処分」をするとしているが、立地条件や施設の強度など技術的な基準は、現在も国の検討チームで議論が続いており、処分場は存在しない。

原子炉内の水を循環させていたポンプや細管などは、汚染レベルが2番目に高い「L2」に分類される。全体の0・40%(約800トン)を占め、コンクリートで固めた浅い地下に埋める。原子炉格納容器外側のコンクリートや鋼板など全体の0・99%(約2010トン)となる廃棄物は、3番目の「L3」に分類され、コンテナなどに入れて浅い地下に埋めた後、おおむね50年管理する。

しかし、L2、L3の廃棄物も行き場はない。これまで運転中に出ていた同レベルの廃棄物は、敷地内に保管しているほか、一部はドラム缶に入れて青森県六ケ所村の処分場に搬出している。ただ、国の事業許可上、発電時以外の廃棄物を持ち込むことはできないことになっている。

商用炉で国内初の廃炉を進める東海発電所(茨城県東海村)では、2001年から解体を進めているが、隣接する社有地にL3廃棄物を埋める事業許可を今年7月に申請したばかり。L2については解体に着手しておらず、処分場も決まっていない。

九電は放射性廃棄物の行き場に関し「現時点では敷地外の廃棄事業者に引き渡す」とし、「処分場が決まるまでは、玄海の敷地内で適切に保管することになる」と説明している。

これに加え、原子炉周辺の解体前に搬出する使用済み核燃料も、六ケ所村はほぼ満杯で受け入れの見通しは立たない。このため九電は、一時的な保管場所として敷地内に乾式貯蔵施設建設も検討している。

放射性廃棄物が敷地内で埋設されれば、原発立地が半永久的に請け負う可能性もある。国内の原発で新たな廃炉が続くことが現実味を帯びる中、九電や地元だけでなく国民全体が、これまで先送りされてきた原子力政策の重い課題を突きつけられている。

九州電力の廃炉計画申請を受けて、原子力規制委員会は今後、計画を認可するかどうかの検討に入る。規制委が発足して初のケースで、事務局の原子力規制庁は「前例や事業者側の計画にはとらわれずに厳格に進めていく」としている。

審査では、廃炉作業を進める過程で万一事故が起きても周辺に影響がないか、廃棄物が適切に処理されるかなど計画の妥当性をチェックする。具体的な審査方法は決まっていないが、規制庁が非公開で九州電力と面談し、内容だけを文書で公開する手順を検討している。

規制委が発足する前は、中部電力が浜岡原発1、2号機(静岡県)の廃炉を2009年6月1日に申請し、半年後の11月18日に認可された。今回、九州電力はこの事例を踏まえて「2016年度中の認可」を前提にしたスケジュールを組んでいる。




http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/262529