写真館「マイナンバー特需」 県内、高齢者中心にカード用撮影希望増

マイナンバー制度が始まる来年1月から希望者に個人番号カードが交付されることに伴い、カード用の顔写真を撮影する高齢者らで、県内の写真館などに「特需」が生まれている。スマートフォンやデジタルカメラを使って自分で撮った写真も使えるが、カードを身分証明書として人に見せることも考え、プロに依頼する高齢者が多いという。マイナンバー制度を控えて日本写真館協会(東京)が独自に導入した、カード用写真撮影の「認定店」であることをアピールする写真館も。需要の高まりに、写真館以外でも撮影を始める店も出ている。

「国民全員がカード用写真を撮る可能性があり、新しい需要が出ている」。県写真館協会長の丸山耕司さん(63)=中野市=は、国内に住む全ての人に12桁の番号が振られるマイナンバー制度による波及効果を実感している。中野市で営む写真館も「認定店」で、11月から既に高齢者を中心に数十人がカード用写真を撮影した。同店では1枚2160円程度。

日本写真館協会は、個人番号カードの撮影に向けた講習を受けた写真館を認定店としている。認定店は、「背景に影がない」「髪と服装の境目が不鮮明でない」など、同協会の独自基準に沿った証明写真の撮影をする。県写真館協会によると、業界でこうした認定制度を設けたのは初といい、同協会会員50店余のうち20店余が認定されている。

長野市の「写真スタジオポプリ」は10月から、認定店をアピールするのぼり旗を店頭に掲示。11月に入って100人以上のカード用写真を撮った。同店社長の青木文男さん(62)によると、通常の客足の2~3割増に当たるという。多くが高齢者で「若い世代は、カードを作るか判断しかねているのかもしれない」とみる。

松本市の中心市街地にある写真館も年配の人を中心に、11月には「通常の2倍ぐらい」という20件余の証明写真の撮影を受け付けた。飯田市の佐々木写真館も12月に入ってから高齢者からの撮影依頼が増えてきた。同店社長の佐々木滋さん(59)は「運転免許を返納した人が、写真付きの身分証明書としてカード申請を考えるケースもあるようだ」と話す。

長野市の洋品店「しゃれもんはうす」は、常連客らの要望に応え、市内のプロカメラマン近藤克則さん(60)の協力で店内で撮影会を不定期で開いている。費用は1300円(3枚)。市内の阪田和嘉子さん(61)は撮影はしたが、「さまざまな個人情報が一つの番号から分かるのは怖い気もする」とし、カードを申請するかは制度をより詳しく知ってから決めるつもりだ。店主の山岡和正さん(64)は、みだりに個人番号を他人に知らせないなど、総務省の資料から注意点をまとめた紙も配布。「近くに相談する人がいない1人暮らしの人を中心に、制度を知りたがっている人は多い。できる範囲で手伝えれば」と話している。




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