子ども貧困対策 黄信号 基金寄付300万円止まり

政府が子どもの貧困対策の目玉として始めた「子供の未来応援基金」がふるわない。募金開始の十月から約二カ月間で民間から集まった寄付金は約三百万円。基金を原資として二〇一六年度から始める事業の実施に“黄信号”がともる。政府は「周知不足」と釈明する。だが、本来は政府が取り組むべき課題について民間を頼る対策には危うさがあることを露呈した。

基金は、企業や大学などの法人や個人から寄付を募り、学習支援などに取り組む団体への助成と、食事の提供や職業体験など「居場所の整備」の二分野に資金を提供する。

事業には億単位の財源が必要になる見込み。しかし、六日時点の寄付金は約三百十五万円。件数は法人が二件、個人が百四十四件。加藤勝信一億総活躍担当相は八日の記者会見で「(一六年度に事業の)展開は厳しい。さらに周知を図りたい」と強調した。

基金を管理する日本財団の担当者は「企業は株主などへの説明責任があり、大口の寄付は急にできない。少額なら社会貢献への熱意が問われかねず、様子見をしている可能性がある」と分析。経団連は「CSR(企業の社会的責任)関連の支出は年度当初に決める企業が多く、来年度になれば増えるのではないか」と話す。

一方、名古屋大の中嶋哲彦教授(教育学)は「貧困対策の責任は政府にあるとまず前面に出すべきだ。寄付だとお金が集まらない責任が国民に転嫁される恐れがある」と懸念する。

政府の一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策には基金の活用が明記され、内閣府も企業に協力を呼び掛けている。一方、安倍政権は支援の現場関係者が長年、政府に求めている児童扶養手当や給付型奨学金の大幅な拡充には及び腰だ。

貧困対策に取り組む民間十三団体は九日、官民の基金への支援や児童扶養手当の拡充などを求め、要望書を加藤氏に手渡した。提出後、「子どもの貧困対策センターあすのば」の小河光治代表理事は「『国が頑張ったから、民間だって』という空気に変えるのが今一番大切だ」と話した。

仕組みの課題も指摘される。説明資料には就労支援などとあるだけで具体的な内容が示されていない。政府が今後、助成先を選ぶ基準などを詰めるが、支援団体は「就労に向けた自動車免許取得費用など明確に使途を示せば、関係業界の寄付を得られるのではないか」と指摘する。

寄付は日本財団のホームページで「寄付をお考えの方へ」をクリックし、「子供の未来応援基金」を選んで指示に従う。銀行口座への振り込み希望者は同財団=(電)03(6229)5171=へ問い合わせを。




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