マイナンバー届かぬ避難者 原発事故で全国に住民離散

東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の自治体で、マイナンバー制度の通知カードが本人に届かず、役場に返送されるケースが相次いでいる。自治体は住民が避難先として登録する住所に郵送しているが、転居を申告していない避難者もいるからだ。住民に電話などで現住所を確認して再送付するが、今後どの程度まで返送が増えるか見通しが立たず、対応に苦慮している。

「全国に避難しているだけに大変。送った数と同じくらい返ってきた日もあった」。福島県大熊町の担当職員が頭を抱える。町では送付総数約五千通のうち、十一日現在で累計五百六十四通が戻ってきた。

多くは、避難先が変わって居住実態がないのが理由。このため、避難住民のリストから返送された人の連絡先を探し、一件ずつ電話する。転居先を確認した上で、再送するか、近ければ取りに来てもらうよう頼んでいるが、「いつまでかかるか…」。

富岡町では送付総数約八千通のうち、十一日までに約六百通が返送された。植杉昭弘住民課長は「ある程度想定はしていたが、これほどとは」と嘆く。

町が広報誌を毎月届けている住所に送付しても、届かない事例が出ている。郵便局の無料転送サービスを利用して広報誌を受け取っていたのが理由。広報誌など一般の郵便物は転送されるが、通知カードは簡易書留で、転送の対象外だからだ。

町はマイナンバー通知を見据え、現住所を町に申告するよう六月から広報誌で求めてきたが、十分に浸透していない。

このため、今度は逆に郵便局の転送サービスを活用し、現住所を町に教えてもらえるよう一般郵便で働き掛ける。

それでも判明しない場合、把握する電話番号に連絡して直接聞く考えだ。しかし、電話番号の申告がなかったり、番号が変更されていることも想定される。

マイナンバー制度の通知カードの送付先は、原則として住民票の住所だが、震災や原発事故の避難者などは「やむを得ない事情」(政府担当者)として避難先への送付を特例で認めている。ところが、「国が制度を周知するパンフレットで、今の住まいに住民票を移すよう呼びかけていたため、町民から『移さなくてはいけないのか』と戸惑う声も寄せられた。被災自治体として切ない思いもした」と植杉課長。

「町民が全国に散らばっているからこそ、通知カードをしっかり届けたい」と話す。




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