税制改正大綱 暮らしどうなる 出産・子育て支援ふんだんに

平成28年度税制改正では暮らしに関わる分野で減税項目がずらりと並んだ。特に、安倍晋三政権が掲げる「希望出生率1・8」の実現を目指し、出産・子育て支援となる手厚い負担軽減措置がふんだんに盛り込まれた。景気への影響が大きい自動車分野では、持ち主が毎年支払う「自動車税」と「軽自動車税」について、燃費性能に優れた車に対するエコカー減税を来年3月末の期限から1年延長する。

子育て支援ではまず、自宅を3世代が同居できるように改修した場合に、所得税額を減らせる制度を導入する。祖父母が孫の世話をしやすくし、共働き夫婦が働きやすい環境を整えるのが狙いだ。

来年4月以降、キッチンや浴室、トイレ、玄関のうちのどれか1つを増やす工事をすると、工事費の10%の金額を25万円を上限に所得税額から一度に控除できる。ローンを組んでの改修であれば、ローン残高から最大62万5千円分までを5年に分けて所得税額から減らせる仕組みも用意する。

親や祖父母が、子や孫に結婚や出産、子育てにかかる資金を贈る際、1人当たり1千万円まで贈与税がかからない制度は、より利用しやすくなる。来年4月からは薬局で支払った不妊治療の薬代や産後の健康診断の費用なども認められる。

家計への影響が大きい薬代の税負担も軽くなる。29年1月から、市販薬のうち処方箋が必要だったものを薬局の店頭で売れるようにした「スイッチOTC薬」について、購入費が世帯当たり年1万2千円を超えた場合、超過額を課税所得から差し引くことができるようになる。

例えば購入額が2万円なら8千円分に所得税がかからず、所得税率20%の人は1600円が浮く計算だ。症状が軽ければ市販薬で治す手段ができる。病院に行く手間が減り、出費を抑えることもできそうだ。

遠距離通勤する会社員の懐にも恩恵が及ぶ。来年1月から通勤手当や定期券にかかる所得税の非課税限度額が現在の月10万円から15万円に引き上がる。東京駅や新大阪駅から200キロメートル圏内の新幹線通勤が対象になり、環境の良い地方へ移住を希望する会社員などにとっては朗報になる。

住宅分野では、空き家を親から相続した人が耐震改修や解体して売却すれば、譲渡益から3千万円が控除される。使い道のない空き家を持て余している人には助けになる。また、新築住宅の固定資産税を半額に割り引く制度については来年3月末が期限だったが、2年間延長する。

一方、庶民向けの増税につながりかねない改正は軒並み見送られた。

政府・与党は今年、麦芽比率などに応じて異なるビール類の酒税一本化を目指したが、割安な発泡酒や第3のビールが値上がりしかねないとして、改正協議を来年末に持ち越した。たばこ税の増税についても、29年4月の消費税再増税で値上がりするのを踏まえて見送った。




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