「バーガー戦争」勝ち組はモスフード “迷走”マックとの違いは…

ハンバーガー業界で地殻変動とも呼べる動きが出ている。健康志向の高まりや食の安全問題を受け、価格が高くてもより質の高いチェーンの商品を選ぶ消費者が増加している。最大手の日本マクドナルドが業績不振にあえぐ中で、かねてから商品の質で勝負する「モスバーガー」を運営するモスフードサービスの平成27年4~9月期業績は営業利益が前年同期比2.5倍の16億6700万円とV字回復するなど快進撃を続けている。

ハンバーガー業界の巨人、マックが迷走を続ける中、米国で人気の新興勢力の参入も相次いでおり、市場の勢力図が今後、塗り変わる可能性もある。

ある証券アナリストは業績の二極化が鮮明になる国内ハンバーガー業界についてこう分析する。かつて低価格を武器に外食市場を席巻し“デフレの申し子”とデフレ時代に勝ち組の名をほしいままにしたマックが不振にあえいでいるのに対し、“食の安全”にこだわりデフレ時代にもこうした低価格競争に加わらなかったモスバーガーが目下、快進撃を続けている。

マックは昨年7月の使用期限切れ鶏肉問題と今年1月の異物混入問題の発覚で家族連れを中心に客離れが進んだ。8月の既存店売上高は19カ月ぶりにプラスに転じ復活の兆しが見えたかと思ったが、9、10月は再びマイナスに転落。客数は10月までに30カ月連続のマイナスと、回復の兆しは一向に見えてこない。

一方、産地直送の野菜など食材の質にこだわったモスバーガーの既存店売上高は4月が前年同月比1.9%減だったが、5~10月まで6カ月連続でプラスとなった。4~9月期ベースでは既存店売上高が6.5%増、既存店客単価が9.5%増と伸びた。

モスバーガーの好調を支えたのは、「マクドナルドが迷走しているため」(外食業界関係者)と冷ややかな声もある。商品の値上げを打ち出したかと思うと、低価格戦略を打ち出しており、戦略のちぐはぐさが否めないためだ。

10月26日には新メニュー「おてごろマック」や新たな価格体系を導入した。ただ、これと引き換えに平日昼のセット商品の割引を廃止したことで、実質的な値上げに踏み切ったとの見方もあり、早くも消費者からは非難の声もあがる。

マクドナルドとモスバーガーの商品価格差が縮小していることもマック離れを加速させている。単品の価格で比べるとマックの「てりやきマックバーガー」が310円(税込み)に対し、モスバーガーの「テリヤキバーガー」は360円(同)。マックの「フィレオフィッシュ」が310円(同)に対し、モスバーガーの「フィッシュバーガー」は340円(同)と単品での価格はあまり変わらなくなっている。

迷走を続けるマックを尻目に、モスバーガーは新たな試みに挑戦している。モスフードサービスは11月27日、新ハンバーガー店「MOS CLASSIC(モス クラシック)」の第1号店を千駄ヶ谷(東京都渋谷区)にオープンした。昼だけでなく夜も楽しめるハンバーガー店がコンセプトで、お酒を飲みながら質にこだわった材料の高級ハンバーガーが楽しめる。

国内ハンバーガー市場の攻略を目指すのは既存勢力だけではない。新興勢力も虎視眈々と狙っている。11月中旬には素材にこだわった米高級ハンバーガーチェーン「シェイクシャック」が東京・神宮外苑に1号店をオープン、7月には米「ベアバーガー」も東京・自由が丘に1号店を構えるなど、参入企業は後を絶たない。食材の質にこだわったプレミアム感が消費者のハートを掴み、連日、客足は絶えない。

こうした高級ハンバーガーの価格は1000円を優に超えるものもあるため、一般の消費者が毎日気軽に食べられるというものではない。しかし、モスフードサービスの友成勇樹取締役は「健康志向の高まりや食の安全問題を受け、上質な素材を使ったハンバーガーの需要は高まっている」とみている。今後、ハンバーガー市場では商品の質を求める動きが強まりそうだ。




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