マイナンバー、番号点字なく難しい読み取り・管理 視覚障害者ら

来年1月に運用が始まるマイナンバー制度の番号通知カードについて、県内外の視覚障害者らから、個人番号の読み取りや管理が難しいとの声が上がり、視覚障害者の団体でつくる日本盲人会連合(東京)に相談電話が相次いでいることが5日、分かった。

カードに印刷された番号は点字になっていない。印刷された「音声コード」を携帯電話や専用の機器などで読み取ると番号が読み上げられるが、視覚障害者には扱いにくい。他人に番号を読み上げてもらうことを躊躇(ちゅうちょ)する人もいる。専門家は「誰もが等しく情報を受け取ることができる工夫が足りていない」と指摘している。

「何かあった時には疑われてしまうのではないか」。松本市で視覚障害者の生活を支えるガイドヘルパーの女性(68)は11月下旬、担当する1人暮らしの全盲男性(78)から通知カードが入った封筒の開封を頼まれ、迷った。封筒には点字で「まいなんばーつうち」と記されているが、番号そのものを示す点字はない。女性は「助けたいけれど、他人が見るものではない」として、年末年始に帰省予定の男性の長男に開封を頼むように助言した。

今月初めに通知カードを受け取った長野市の全盲の会社員翠川加奈さんは、カードに音声コードがあることを事前に知らなかった。「コードに携帯電話をかざして読み取るのも難しい」と話す。全盲の松本市の山田茂男さん(76)は「読み取る携帯電話も専用機器も持っていないので利用できない」とする。

番号に点字を施さなかった理由について、カードの配達を担当する総務省は「点字の識字率が高くないため」(住民制度課)と説明。同省は11月、希望に応じて番号の点字シールを提供するなどの努力を市町村に求める通知をしたが、現時点で対応している市町村は多くないとみられる。

マイナンバー法は他人への番号提供を制限している。ヘルパーら家族以外の人に番号を読んでもらうことについて、制度全般を管轄する内閣官房の担当者は「法違反にならない」としつつ、「本人か親族が番号を確認するのが好ましい」とする。1人暮らしでは対応が難しい。

これに対し日本盲人会連合組織部長の藤井貢さん(63)=広島県福山市=は「視覚障害者が自分で個人番号が管理できるような配慮がほしい」とし、今後、国に対応を求める方針だ。

県障がい者支援課によると、県内の視覚障害者は昨年度末で5024人。このうち全盲を含む障害の等級が1級は1653人いる。バリアフリーに詳しい長野大社会福祉学部の伊藤英一教授は「今はとりあえず保管しているという視覚障害者が多い。今後、不安の声は多くなる」と予測する。県視覚障害者福祉協会の中山吉泰理事長(79)=上田市=は「市町村や社会福祉協議会で窓口を設け、相談に応じたり読み取りを手伝ったりする仕組みがほしい」と求めている。




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