JR西日本:人為的なミス 起きても「処分せず」

JR西日本は運転士らの人為的なミス(ヒューマンエラー)を、事故が起きた場合も含めて懲戒処分の対象から外す方針を固めた。ミスを確実に報告させ、再発防止につなげるのが狙い。2005年4月に兵庫県尼崎市で発生したJR福知山線脱線事故を受けた措置で、来春の導入を目指している。飲酒や故意など、悪質性が高い場合は従来通り処分する方針。同社によると、鉄道業界で初の試みだという。

福知山線事故を巡っては、運転士に対する懲罰的な再教育「日勤教育」が背景にあったと指摘されている。JR西は事故後、停車駅を通過するオーバーランなどの比較的軽微なミスについては懲戒処分の対象から外した。人的・物的な被害があった場合や事故の危険性があった場合は処分の対象としていた。

こうした方針に対し「依然として原因究明より個人の責任を追及する風潮がある」という批判が根強かった。事故の遺族とJR西、有識者でつくる「安全フォローアップ会議」は昨年4月の報告書で「『ヒューマンエラー非懲戒』の方針を決定し、社員に周知・徹底すること」と提言していた。

非懲戒の制度はミスの責任を現場の社員に押しつけず、会社組織の問題として捉える考え方に基づく。航空業界では既に導入されている。同社のある幹部は「ヒューマンエラーは一定の確率で必ず起こる。そこを叱っても問題は解決しない。正直に状況を話してもらい、その背後にある問題に対処することが大切だ」と話した。人命が失われた事故で処分しないことが社会的に許容されるのかという疑問もあり、JR西は線引きの基準作りを進めている。

福知山線事故で長女容子さん(当時21歳)を亡くした兵庫県三田市の奥村恒夫さん(68)は「ヒューマンエラーは誰にでも起こり得る。当然の措置だと思う。気の緩みにつながらないよう、JR西は人の命を運んでいるという自覚をしっかり持ってほしい」と語った。




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