TBSは圧力に屈するのか? News23岸井氏「降板説」の真偽

TBSの報道番組「NEWS23」のメーンキャスター・岸井成格氏(71)の後任に、朝日新聞の特別編集委員・星浩氏が内定したという話が飛び交っている。来年3月交代だというのである。岸井氏といえば、番組内で安保法案に批判的なコメントをしたことから、一般紙に一面デカデカと意見広告を出されるという異例の個人攻撃を受けたばかり。このまま岸井氏が降板すれば、TBSは完全に“死んだ”ことになる。

■安倍応援団の意見広告に右往左往

TBSが「NEWS23」のメーンキャスター・岸井氏を更迭し、後任に星氏を充てることを決めたという話は、先週あたりからネットで出ている。TBS関係者は「微妙な話なので何も言えない」と言っているが、星氏サイドからはこんな裏話が聞こえてきた。

星氏は朝日新聞を定年退職する予定で、実は桜美林大教授に転身する話があった。同じく朝日新聞OBで桜美林大の教授を務める早野透氏が70歳になるため同大を退職。星氏にその後任教授を打診したが、キャスター就任を理由に11月に断られたというのである。

そんな折も折、先月、産経新聞と読売新聞に全面の意見広告が出た。岸井氏が今年9月16日の番組内で、「メディアとしても(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言したのに対し、任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」が「政治的に公平であることなどを定める放送法に反する」とイチャモンをつけたものだ。

ジャーナリストの斎藤貴男氏は本紙のコラムでこう言っている。

〈放送法は放送の自由を守るための法律だ。(政治的に公平を定めた)第4条も放送事業者の倫理規範であって制限規範ではない。これを根拠に権力に批判的な放送を違法呼ばわりする発想は、立憲主義を否定し、憲法を国民の生き方マニュアルに変質させようとしている安倍晋三政権とまるで同じだ〉 

「視聴者の会」には上智大名誉教授の渡部昇一氏ら“安倍応援団”が名前を連ねており、意見広告の背景には、官邸や与党の“圧力”が見え隠れする。TBSだって、このまま岸井氏を交代させたら、意見広告に屈したことになってしまう。だから、“微妙”なのだろうが、加えて、岸井氏の出身元である毎日新聞が先月30日付紙面で、この広告に“大反論”する識者のコメントを紹介した。ますますTBSが慌てているのが目に浮かぶ。

「毎日新聞が怒ったのは訳があるんです。岸井氏がメーンキャスターに就任する際、TBSは“三顧の礼”をもって毎日新聞にお願いした経緯がある。それなのに権力に屈する形でTBSが“クビ”にすれば、毎日新聞のメンツは丸つぶれ。許すわけにはいかないのでしょう」(TBS関係者)

「視聴者の会」は意見広告を出した後、会見もしており、TBSに対し「岸井発言がTBSとしての意見、すなわち社見であるのか」などと質問していた。こんなムチャクチャな団体にビビって、岸井氏を降板させれば、TBSは報道機関としてオシマイだ。政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。

「今の安倍政権がやっていることは、メディアの“乗っ取り”です。このまま政権批判が許されないとなれば、民主主義が破壊され、全体主義になりかねない。岸井氏を降板させることはテレビの自殺行為です。TBSは徹底的に抵抗しなければならない。もし屈すれば、ほかのメディアにも影響が出る。そうなれば、みな“右へ倣え”の報道になってしまう。恐ろしいことです」

TBSの武田信二社長は2日の定例会見で、岸井氏の発言について「長年のジャーナリストとしての経験と識見に基づく論評と理解している」とコメント。問題の団体からの公開質問状に対する回答については「今、検討している」としたが、さあ、どう出るのか。




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