新型ノロ、大流行の恐れ…予防ワクチン・有効な治療薬なし

毎年冬に流行し、嘔吐(おうと)や下痢の原因となるノロウイルス。2014年3月に国内で採取されたふん便から新型ウイルスが確認され、国立感染症研究所は、このウイルスが今後、国内で大流行を引き起こす恐れがあるとみて、警戒を呼びかけている。

◆患者が急増

新型ウイルスはG2・17と呼ばれる遺伝子型で、川崎市健康安全研究所に運ばれた市内の感染性胃腸炎の患者のふん便から見つかった。その後、川崎市以外に、長野、埼玉、栃木でも14年夏から15年3月にかけて検出された。15年の春以降も、岐阜県や大阪市などで発生した集団食中毒の患者のふん便からも確認されている。

感染研によると、ノロウイルスを主な原因とする感染性胃腸炎の患者数は今年10月末以降、急増している。全国の小児科約3000か所の報告をまとめた定点調査によると、1医療機関あたりの患者数は、11月9日~15日の週は6・88人に達した。

感染研ウイルス第2部室長の片山和彦さんは「国内では、新型ウイルスに感染した経験がなく、感染を防ぐ抗体を持たない人が大半だ。従来型よりも重症化しやすいわけではないが、流行がかなり大規模なものになる恐れがある」と指摘する。

◆強い感染力

ノロウイルスの特徴は、その感染力の強さだ。患者の便1グラム中に存在するウイルスは数億個ともいわれ、このうち10~100個程度のウイルスが食物などを通して体内に侵入すると、発病する恐れがある。アルコール消毒もあまり効果はない。

潜伏期間は2日前後と短く、発病すると激しい嘔吐や下痢を1日に10回以上繰り返すこともある。1~2日で自然に治ることが多いが、現時点では予防のワクチンや有効な治療薬はない。

このため、予防が大切だが、新型ウイルスでも対策は従来とは変わらない。

食事の前やトイレの後には、せっけんを十分に泡立てて手を洗う。せっけん自体はウイルスを死滅させることはできないが、手や指に付いた脂肪や汚れなどとともに、ウイルスを洗い落としやすくする効果が期待できる。

また調理の際には、ウイルスが検出されやすい二枚貝などの食品は、中心部分を85度以上、90秒以上加熱することで、死滅させることができる。嘔吐物や便を処理する時には、使い捨ての手袋やマスクガウンを着用する。ペーパータオルなどで静かに拭き取った後には、ビニール袋に密封し処分する。消毒には、塩素系漂白剤を使うことが重要だ。

◆水分補給を

このほかに、片山さんが勧めるのは、流行している時期の外出時にマスクを着用することだ。嘔吐物や下痢便には大量のウイルスが含まれており、乾燥にも強い。ほこりとともにウイルスが空中に飛散し、口に入って感染する恐れがあるためだ。

仮に発病した場合には、嘔吐や下痢による脱水症状を起こす恐れがある。体力を消耗しないように小まめに水分補給をしよう。腹痛や下痢などの症状が治まっても、1週間程度は便にウイルスが潜んでいることもあり、排便後の手洗いを徹底したい。




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