不正車検:吸盤型ミラーで「合格」 神奈川事務所で横行か

車高の高い並行輸入車に装着が義務化されたサイドアンダーミラーを巡る不正車検事件で、主席自動車検査官3人が逮捕された国土交通省所管の「自動車検査独立行政法人」神奈川事務所(横浜市)が、車検の時だけ、簡易な構造の吸盤型ミラーを取り付けた車も審査を通過させていたことが捜査関係者への取材で分かった。

大阪府警が照会した全国の主要な検査事務所は「同様のミラーでは国の保安基準を満たさず、審査は通らない」と回答した。

府警は神奈川事務所で不正が横行していた疑いがあるとみて、他の検査官からも詳しい事情を聴く。

捜査関係者によると、車検時だけ吸盤型のミラーを取り付けるのは自動車販売業界で「ポン付け」と呼ばれる。デザイン性を重視する並行輸入車の愛好家らの要望に応えるため、車検後にミラーを取り外し、販売する業者が多いとされる。こうしたミラーは、付けたまま走行すると車体から取れることもある。

府警は6月、並行輸入車の車検時のみ吸盤型ミラーを取り付け、車検証を不正取得したとして府内の自動車販売業者を摘発。この業者も車検を神奈川事務所に出していた。業者は「『神奈川』ならポン付けが通った」と府警に説明したという。

自動車検査独立行政法人法に基づく「審査事務規程」では、保安基準を満たさないサイドアンダーミラーの装着状況について、「粘着テープ類や針金類で取り付けられたもの」と例示されている。吸盤型ミラーもこの規定に該当するため、車検を通した検査官は内規違反の疑いもある。

府警交通捜査課によると、法人傘下の検査事務所には2014年までの10年間、約11万5000台の並行輸入車について車検の申し込みがあった。うち約3万8000台が神奈川事務所で、全国最多だった。

検査官の逮捕を受け、同法人の栗原和郎理事長は「厳正かつ公正な検査を行うとの理念を持っており、事実ならば大変遺憾だ。関係者の方々に深くおわびしたい」との談話を出した。




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