もんじゅ運営の受け皿どうなる 文部科学省、幅広く検討も難航必至

原子力規制委員会が13日に高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運営主体の変更を勧告したことを受け、文部科学省が期限の半年後までに、もんじゅの管理や運転を安全に行う能力を持つ新たな組織を示せるかが焦点になる。原子炉冷却にナトリウムを使う特殊な技術や運営ノウハウを持つ組織は日本原子力研究開発機構以外になく、民間の電力会社が引き受けることも考えにくい。規制委は“看板の掛け替え”では認めない姿勢を示しており、受け皿づくりは難航しそうだ。

この日の規制委の定例会合で、田中知委員は、もんじゅの運営主体に求める能力として「もんじゅの特徴や潜在するリスクの内容を十分に理解し、ソフト、ハード両面の高いレベルで安全管理や運転を行うことができること」と強調した。施設や設備の老朽化への懸念もあり、規制委が求めるハードルは高い。

1995年のナトリウム漏れ事故以降、2度の改組が行われてきたが、もんじゅの技術や運営の中心を一貫して担ってきたのは旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)出身の職員だった。田中俊一委員長は「看板の掛け替えで安全を担保するのは簡単ではない。中身が伴わなければならない」と述べており、これまでのような組織変更では運営主体として認めない姿勢だ。

勧告を受け文科省は▽原子力機構からもんじゅの運営を切り離し、新たな研究開発法人などを設立▽民間企業に運営を委託―などを含めて幅広く検討し、運営主体を具体的に決めていきたい考え。もんじゅを担当する高谷浩樹・研究開発戦略官は「決め打ちせずに最適な組織を見つけていく」と強調する。

ただ「看板の掛け替えは駄目というのは分かるが、特殊なもんじゅの知見を持っているのは原子力機構の職員。そこも加味して考えないと…」と難しさを打ち明ける。規制委が求める安全基準の考え方を確認したいとするが、「(規制委は)独立した3条委員会のため、どこまで協力してもらえるか」と不安視する。

電力会社に委託することは可能なのか。これまで、もんじゅの運転や保守管理の業務に人材を出してきたが、その中心的な役割を担ってきたのは日本原電だ。

もんじゅ建設時の1985年、電気事業連合会は原型炉のもんじゅの次の段階に当たる実証炉の開発主体を原電に決定。原電は社内に高速炉開発部を置き、90年代前半には最大約80人(他電力の出向社員含む)を送り込んだ。

だが、もんじゅのナトリウム漏れ事故後、実証炉は実質白紙になった。原電は組織を縮小し、原子力機構やメーカーなどと研究を続けているが、実証炉の実施主体は決まっていない。

原電をはじめ各電力には、過去にもんじゅの運転を経験した現役社員もいるというが、電力業界からは「もんじゅは研究開発炉で商売にならない。運営する人員も確保できない」と、委託には否定的な声が相次ぐ。

高速炉に詳しい福井大附属国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授は「原子力機構の中でもんじゅの管理を熱意を持って行う技術者だけを集め、電力から保守管理に精通した人たちを出戻りなしで迎えて、新たな運営主体をつくるべきだ」と主張する。

原子力機構全体の人員が約3800人と多いため、もんじゅに対する責任が分散してしまった点が問題と指摘し「もんじゅの研究部門を完全に切り離し、個人が責任を持って運転や保守管理に集中する組織にしないといけない」と強調する。

一方、「(規制委が求めるレベルの)組織はできない」と話すのは九州大大学院の吉岡斉教授。ナトリウム漏れ事故以降ほとんど動いていないため、運転能力のある人材はおらず、施設の老朽化も問題だと指摘する。「文科省が組織案の方針を示したとしても形式的なものにすぎないのではないか」と疑問視した。




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