MRJ初飛行「静岡」も支えに 県内企業に期待の声

三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を進めてきた国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)が11日、初飛行に成功した。「感動した」「商機拡大に期待したい」。静岡県内の関係者らは喜びの声を上げ、新たな産業の可能性に期待を膨らませた。

■共同受注、模型化… 新産業に静岡県内期待

主翼前側に取り付ける部品を供給したエステック(清水町)では、全社員40人がテレビの前に集まり、初飛行の様子を見つめた。部品は主翼の面積を広げて、揚力を大きくするため、フラップをせり出すのに欠かせない。飛行に成功すると、社員から拍手がわき起こった。

この部品を作るため2年間一日も休まず工場の機械を動かし続けた。鈴木誠一社長(54)は「本当に大変だった。初飛行の成功には感動した」と目を潤ませた。

航空宇宙機器の部品製造は、鈴木社長が大手自動車メーカーの内定を蹴って父親が経営していた同社に入社し、新規分野として開拓した。今では同社の売上高の約8割を占める。鈴木社長は「国内製造業が空洞化するなか、日本が強みを発揮できる分野だ」と言葉に力を込めた。

静岡県で航空機部品の一貫生産・共同受注を目指す浜松市などの企業グループ「Solanet(そらネット)」の大澄信行会長(71)=オリオン工具製作所会長=は「夢は大きくなり、商機拡大に期待している。中小企業のものづくり力を結集して共同受注につなげたい」と語った。まだ、仕事の獲得に至っていないものの、MRJの量産化を視野に、「部品の軽量化技術やコスト競争力を高めて、グループをアピールできれば」と意気込む。

航空機模型の老舗メーカー、ハセガワ(焼津市)でMRJの模型化を担当する枡本泰人企画開発担当次長(54)は、インターネットの動画サービスで初飛行を見守った。「全ての車輪が滑走路から離れた時は、何とも言えない感慨が込み上げた」。

模型化の意向は三菱航空機に伝えている。「初飛行を節目に、具体的な話を進め、50年ぶりの国産機の感動をファンに届けたい」と話した。

■「地方空港連結に寄与」 三菱航空機前会長 江川豪雄氏(清水区出身) 

三菱航空機のMRJが11日、初飛行を成功させたことについて、静岡市清水区出身で同社前会長の江川豪雄氏(71)=三菱重工顧問=は取材に「新型リージョナルジェットは、静岡空港を含めた地方空港のネットワーク化に大きく寄与できるだろう。機体には静岡県で製造された構造部品も使われ、県出身者としてうれしく、誇らしい」と語った。

初飛行を名古屋空港で見守ったという江川さんは「多くの技術者、社員、関係者が困難を乗り越えて迎えた初飛行。皆が胸を熱くした」と振り返った。

待ち構える長時間の試験飛行や形式認定手続きに「スタート台に立ったばかり」と気を引き締め、「地方空港は網の目のように就航する便が連結されてこそ生かされるのではないか。MRJが日本の空、世界の空をつなぐ日がきっと来る。静岡空港への飛来を楽しみにしていてほしい」と力を込めた。




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