もんじゅ:看板掛け替え限界 不祥事重ね技術劣化

原子力規制委員会は13日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)で安全管理上のミスが相次いだことを受け、日本原子力研究開発機構に運営主体からの「退場」を求める勧告を出す。監督する文部科学省が半年以内に代わりの運営組織を示せない場合、もんじゅは存続の危機に立たされる。原子力機構の前身「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」は不祥事で批判を浴びるなど、過去2回、看板の掛け替えで生き残った経緯がある。今回は「三度目の正直」になるのか、「二度あることは三度ある」なのか−−。

「率直に意見を言うと人事などで排除されるため、上にものを言いにくい雰囲気がある。その結果、安全を向上させる意識も低下していった」。原子力機構で上級研究主席を務めた田辺文也さん(70)は、受け継がれている旧動燃の体質をこう振り返る。

今回の勧告の原因は、2012年にもんじゅで発覚した約1万件の機器の点検漏れだ。規制委は13年に事実上の運転禁止命令を出したが、改善されなかった。

動燃は1967年、もんじゅなどを柱とした「核燃料サイクル」実現を目指す特殊法人として設立された。95年のもんじゅのナトリウム漏れ事故で、直後に撮影した現場のビデオ映像を一部カットして公表。97年には、茨城県東海村の施設で発生した火災で虚偽報告が発覚し、隠蔽(いんぺい)体質が批判された。「動燃よ どうなっとんねん どうすんねん」。当時の毎日新聞の万能川柳にも、動燃の閉鎖性を皮肉る一句が掲載された。

98年、「核燃料サイクル開発機構」に名称変更したが、そのまま組織は存続。05年には特殊法人改革で日本原子力研究所と統合され、原子力機構となった。機構によると、今年4月現在、もんじゅで働く職員約170人のうち、旧動燃出身者は約100人。歴代所長でも19人中18人を占める。

今回のミスについて、ある原子力機構幹部は「(不祥事で)技術者や研究者が萎縮し、言われたことしかできない職員が多くなった。もんじゅが稼働していれば職員は自然に技術を覚え、後輩にも引き継げるが、ほとんど稼働実績がないのでそれもできない」と吐露する。田口康・敦賀事業本部長は「(規制委からの)宿題に追われ、結果としてミスをすることもある」と、業務量に態勢が追いつかない現状を打ち明けた。

規制委が勧告を出すのは、12年の発足以来初めて。10日の衆院予算委員会で「看板のすげ替えはあり得ませんね」と問われた田中俊一委員長は「実質的に安全が担保できるかどうかで判断する」と答えた。原子力規制庁幹部は「もし文科省が看板の掛け替えでお茶を濁すなら、設置許可の取り消しなどの手段も検討する」とけん制する。

文科省幹部は「すべて白紙で検討する」と話すが、田辺さんは「原子力機構に代わる組織を見つけるのは困難。もんじゅの存廃の判断をすべき時期が来ている」と指摘する。




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